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ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序とテレビシリーズの作画比較 

■テレビシリーズ「新世紀エヴァンゲリオン」と、
映画『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序』の作画を比較してみました。

新劇場版には、
新作カット部分(テレビシリーズにはなかったシーン)
新規作画部分(作画が描き直されている)
テレビシリーズの原画をトレスしてそのまま使用している部分

がありました。
原画は当時のものだけれど動画枚数が増えているなど、
ちがいを見比べると面白いです。



TV「新世紀エヴァンゲリオン」、映画「新劇場版:序」より
画像上:テレビシリーズ「新世紀エヴァンゲリオン」(1995年)第1話冒頭シーンより
画像下:『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序』(2007年)冒頭シーンより


・新劇場版は、テレビシリーズの原画をトレス
・元映像(テレビシリーズ)の画面上下を切り、左右の背景を描き足し


特徴的な指の形(このカットだけ指が太いです)や、髪の毛のなびき方、
服の皺、影の位置や形を見ると、テレビシリーズの原画をトレスして
新劇場版にそのまま使われているようです。
画像を重ねてみると道路に落ちる影の位置も一致します。


■制作方式

テレビシリーズ:アナログ制作
・セル画に絵の具で彩色
・フィルム撮影

新劇場版:デジタル制作
・線画をパソコンに取り込んでCGで彩色
・デジタル撮影(コンポジット)

光の表現の仕方など、アナログ制作とデジタル制作とのちがいを見ることが出来て面白いです。

何カットか見ていきたいと思います。



『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序 テレビ版』
(2007年 日本)
(日本テレビ「金曜ロードショー」2009年7月3日 21:00~22:54放送)




■全4部作の1作目です。「新」劇場版となっているのは、1997~1998年にも
3度映画化されているからだと思います。

「テレビ版」と銘打たれていますが、本編ノーカットで
エンディングロールだけカットされ、ラストに流れる「次回予告」の
内容だけが劇場公開時とちがったそうです。

参考:
ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序 - Wikipedia


『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序』は、
全26話のテレビシリーズ「新世紀エヴァンゲリオン」の
第1話~第6話にあたるお話です。
『新劇場版:序』の内容はほぼテレビシリーズをなぞったものとなっています。

『序』の放送前にテレビシリーズ第1話~5話が再放送されたので、
新規作画部分とテレビシリーズの作画を再利用している部分が
よくわかって面白かったです。


■新劇場版の中の、テレビシリーズ第1話AパートとBパートの終盤と、第2話にあたる
ほとんどの部分は、当時の原画※が使われていました。

(※「レイアウト」「原画」「動画」の説明はこの記事の一番下にあります)

1990年代の作画にデジタル彩色をするとこうなるんだ!というのが見られて貴重でした。

テレビシリーズの原画がトレスされていますが、微妙なタッチが
現代風に描き直されています。
テレビシリーズを見ずに新劇場版を観れば、どこが新作画で
どこが1995年当時の原画かわからないかも知れません。


■テレビシリーズの画面サイズ(アスペクト比)は正方形に近い4:3。
劇場版は横長の16:9ですから、テレビシリーズのレイアウト・原画を
そのままでは使えません。
画面の上下を切るか、左右を描き足さなければいけませんし、
単に機械的に上下を切っては絵の構図がおかしくなってしまいます。

4:3で作られた画面をどうやって16:9に直しているのか見てみると、
ワンカットワンカット、構図に合わせてそれぞれちがう方法が取られていました。

・画面の上下を切っている
・左右を描き足している
・上だけ(下だけ)切っている
・手前の人物と奥の人物の距離を広げている


など、レイアウトが再構成されていました。


ここがみどころ - ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序 公式サイト
より以下引用です。

10年以上も保存されていた貴重な原画、動画、レイアウト(画面の設計図)、背景をスタジオに結集し、検分した上で改めて「どう料理するか」の決定がくだされる。ビスタサイズに合わせて再フレーミングが行われ、画面構成のクオリティをアップすべくレイアウトの多くは描き直されている。原画も作画監督が現在の目で見直し、細かな手が加えられた。キャラクターのフォルムや影のニュアンス、演技を必要に応じて修正、メカの描き込みも格段にレベルが上がっている。背景に関しても密度感、色彩、光と影の表現がより美麗になっている。
(引用終わり)




(※新劇場版はテレビシリーズのフィルムをそのまま使用はされていません。
新たに描かれています)


■使徒に向かってミサイルが飛んで行くカット

TV「新世紀エヴァンゲリオン」、映画「新劇場版:序」より
上:テレビシリーズ第1話Aパート
下:新劇場版:序

あさりよしとおさんデザインだ!と一目でわかる、使徒サキエル。
目(?)がぱちくりするのがかわいいです。

・テレビシリーズの原画をトレス
・画面左右の背景を描き足し
・背景のディテールアップ




■綾波レイがベッドから起き上がるカット

TV「新世紀エヴァンゲリオン」、映画「新劇場版:序」より
上:テレビシリーズ第1話Bパート
下:新劇場版:序

・新規作画(原画から描き直し)

先のサキエルのカットは、テレビシリーズの画面に
左右の背景だけ描き足され、サキエルの演技もテレビと同じですが、
こちらの綾波レイのカットはキャラクターの位置や演技が描き直されています。
尺もテレビシリーズの同カットよりやや長くなっています。

テレビシリーズ第1話Bパートの前半にあたる部分は
原画から描き直されています。



■エントリープラグが挿入されるカット

TV「新世紀エヴァンゲリオン」、映画「新劇場版:序」より

・新規作画
・3DCG


テレビシリーズでお馴染みのカットです。
画像上は手描き、下は3DCGです。
右上のアームとエントリープラグの動きがCGのそれですが、
静止画では一見手描きのように自然に見えます。



■射出口が開くカット

TV「新世紀エヴァンゲリオン」、映画「新劇場版:序」より

・テレビシリーズの原画をトレス
・画面上下を切り、左右を描き足し
・背景の細部描き込み増





■テレビシリーズ第1話と第2話にあたる一連の戦闘シーンは、
カットが切り替わるタイミングもテレビシリーズとぴったり同じです。


■エヴァが射出口を高速で上って行くカット

TV「新世紀エヴァンゲリオン」、映画「新劇場版:序」より

・テレビシリーズの原画をトレス
・画面上下を切り、左右を描き足し
・エヴァの鎖骨から下を描き足し
・エヴァの位置が画面に対して少し上に移動


エヴァの位置が上に移動しているのは、テレビシリーズの位置のまま
画面比率を16:9に広げてしまうと、画面左上に不自然に大きな空間が
できた構図になってしまうためだと思います。
どのカットもこうした気配りがされています。
劇場版の画面サイズに合わせてレイアウトを再構成する。
上記の公式サイトに書かれていた「再フレーミング」とはこのことかと思います。

左肩の照り返しは、3パターンほどの光の形を
繰り返すことでチカチカ光っているように見せています。
光の形までテレビシリーズと同じに描かれています。


どのカットも描き足された部分にまったく違和感がありません。



■地面の射出口の扉が開くカット

TV「新世紀エヴァンゲリオン」、映画「新劇場版:序」より

・3DCG

テレビシリーズは手描き。新劇場版は3DCGになっています。
手描きの扉の動きは、エレベーターの扉が開く時のような
ガッコンという硬さや、吸い付くような動きのニュアンスがよく出ていてリアルです。
CGの動きは重さがなくスルーっとしていて、やや見ごたえに欠けますが、
細部の描き込みは増えています。



■射出口を出たエヴァが一瞬カメラの前を通り過ぎるカット

TV「新世紀エヴァンゲリオン」、映画「新劇場版:序」より

・新規作画?

カメラ固定でエヴァの顔・胸・お腹が一瞬通り過ぎて行きます。
1秒もない一瞬のカットで、画像の顔の部分は普通に再生すると
ほとんど見えません。
このカットはテレビシリーズの動きのほうがかっこいいと思いました。

エヴァ発進~地上に現れる、の一連の射出シーンの中で、
この一瞬のカットのみ、新たに原画が描かれているようです。
カット割りはテレビシリーズと同じです。

静止画で見ると新劇場版のほうが勢いと迫力がありますが、
動いているところを見るとテレビシリーズのほうがシャープな勢いが感じられ、
目を奪われるような気持ちよさがあります。

なぜそう見えるのかコマ送りで見比べてみると、
テレビ版のほうがエヴァのコントラストが強く描かれていました。
(全体は明るい色で、影の部分は真っ黒に塗られています)

また、新劇場版は豪快な動きのコマとコマの間にはエフェクトを入れ、
なめらかな画面に見えるよう加工しているようです。
(テレビ局で入れた残像処理ではないと思います)


このカットの直後、ガシン!と地上に現れたエヴァの顔を
あおりの構図で見せますが、この時の画面の揺れ方が
テレビシリーズと新劇場版とでちがいます。



■エヴァ、リフトオフのカット

TV「新世紀エヴァンゲリオン」、映画「新劇場版:序」より

画像はテレビシリーズです。
ミサトの「エヴァンゲリオン初号機、リフトオフ!」
のセリフの後、エヴァの肩の支えが外れ、
ゆらっと猫背になったエヴァの肩~腕がぶらりと揺れるカットです。

エヴァの動きの巨大感・ゆら~り感は劇場版のほうがよく出ています。
テレビシリーズの同カットより作画枚数が増えているように見えます。



■「歩いた!」

TV「新世紀エヴァンゲリオン」、映画「新劇場版:序」より
エヴァが歩いたことを喜ぶリツコさん。

・テレビシリーズの原画をトレス
・画面上下を切り、左右を描き足し


新劇場版のほうがコントラストきつめに彩色されているのに、
今っぽく見えます。
まったく同じ絵なのに微妙な表情が現代的に変化していてすごいです。



■エヴァがバランスを崩して倒れるカット

TV「新世紀エヴァンゲリオン」、映画「新劇場版:序」より

・原画描き直し
・作画(動画)枚数が増えている


このカットはテレビシリーズと新劇場版との動きが一致しないので、
原画から描き直されているのだと思います。
(この直後の、エヴァが倒れて顔面が地面に激突するカットの原画は
テレビシリーズのトレスだと思います)

テレビシリーズよりも作画枚数が増え、ふらつくエヴァのゆら~り感や
重量感が、新劇場版はよりよく出ていると思います。



■エヴァが使徒サキエルを蹴るカット

TV「新世紀エヴァンゲリオン」、映画「新劇場版:序」より

・原画、描き直されているかも?
・エヴァの脚の周りの光(火花)のエフェクトが、
上:アナログ透過光
下:CG


テレビシリーズは、蹴ったエヴァの脚が伸びきった瞬間、
画面が一瞬止まったような「間」があります。
新劇場版もカットが切り替わるタイミングがテレビシリーズと
まったく同じなので、同じ部分で間が空くはずですが、
その瞬間に画面を揺らすエフェクトを加えることで間をなくしています。

恐らくテレビシリーズの「間」は意図したものではなく、
こちらが完成形なのでは?と想像しました。
ただ、エフェクトのために被写体の動きを目で追いづらくなり、
画面全体の完成度は上がったけれど、作画がよく見えるテレビシリーズのほうが
動きがかっこいいように思いました。



■一連の戦闘シーンは、テレビシリーズは動きがシャープで
硬質感が出ている傾向があります。
劇場版はなめらかでマイルドな動きになっていると思いました。



■伊吹マヤ

TV「新世紀エヴァンゲリオン」、映画「新劇場版:序」より

・テレビシリーズの原画をトレス
・口の動きを描き直し
・画面の上下を切り、左右を描き足し


よく見ると、口の形と位置だけテレビシリーズとちがいました。
パクパクする口の形をコマごとに見てみましたが、テレビシリーズのそれと
一致しませんでした。
現在の絵柄に合わせて口の形が描き直されているのだと思います。

テレビ版のトレスなのに、ちゃんと絵柄が今っぽくなっています。
やや黒目がちに、口は小さく、童顔に、表情は控え目に、と
微妙なニュアンスが今風に変更されています。

服の右肩に付いている、オレンジ色の模様の位置が
テレビシリーズと新劇場版とで変わっています。
左肩の模様と見比べると、テレビシリーズは塗り位置を間違えているようです。
見比べて初めて気が付きました。



■シンジを見下ろすゲンドウのアップ

TV「新世紀エヴァンゲリオン」、映画「新劇場版:序」より
(人物の大きさに合わせてテレビシリーズの画面を拡大しました)

・テレビシリーズの原画をトレス
・画面上下を切り、左右の背景を描き足し
・背景の格子状の線の位置、パースの掛かり具合を変更


まったく同じ絵ですが、テレビシリーズのほうが
なんとなく立体感があるように見えます。
画面の質感(テレビ:ノイズあり、空気感あり/新劇:クリア、のっぺり)
のちがいや、テレビ版のサングラスのハイライトが強いためかも
知れませんが、恐らく描線のタッチのちがいのためではないかと思います。

大きい画像で見ると描線のタッチがちがうことがわかります。
(クリックで拡大します)
TV「新世紀エヴァンゲリオン」より
映画「新劇場版:序」より

テレビシリーズの描線は、耳の中の線と線が交わる部分、
陰になる部分、小鼻の付け根、鼻の穴、口角などが太い線で描かれ、
描線の細い部分、太い部分のメリハリが付いています。
付けペン画のように線にタッチが付いているため、
絵に立体感が出て見えるのだと思います。

一方、新劇場版は均一な線で描かれています。
デジタル彩色になってから、動画の描線を均一に、隙間なく
引かなくてはいけなくなったため、動画を描くのにより
時間が掛かるようになったと、先日7月10日のNHK総合・朝7時の
ニュース番組で報じられていました。
(動画マンの方の収入が低い問題についてのニュースでした)



■ミサトがリツコに電話を掛けるカット

TV「新世紀エヴァンゲリオン」、映画「新劇場版:序」より

・テレビシリーズの原画をトレス
・ミサトを拡大、シンジを縮小
・シンジを画面奥に配置
・画面上下をややカット
・背景を広角気味に変更。ディテールもアップ



上の画像はミサトの大きさで合わせました。
本来の画面サイズはこういう感じです。
TV「新世紀エヴァンゲリオン」、映画「新劇場版:序」より

今までのカットは、被写体の大きさはテレビシリーズそのままに、
背景を左右描き足したり画面の上下が切られていましたが、
このカットは画面に合わせてミサトが拡大されています。
テレビシリーズも劇場版も、画面の幅に対してミサトの大きさが同じです。
また、ミサト・シンジ間の距離が広げられ、画面に奥行きが出ています。



■コンビニに居るシンジとミサトのカット

TV「新世紀エヴァンゲリオン」、映画「新劇場版:序」より

・テレビシリーズの原画をトレス
・画面上をカット。画面下ややカット。画面の左右を描き足し。
・背景の細部描き込み増
・背景の色合い変更



画像上の背景:
寒色系で塗られ、描き込み具合も抑えられているため
寂しくて寒々しいニュアンスが出ています。

画像下の背景:
温かみのある暖色に変更されています。
サンドイッチの具もピンク色に描かれていて、画面をピンク系で
まとめる意図がうかがえます。


画的には画像上のほうが画面がすっきりしていて人物が映え、
線もシャープです。尖った感じの表現だと思います。
新劇場版は背景と人物が同系色なので、テレビシリーズほど
人物が引き立ってはいませんが、穏やかな印象を受けます。

同じ原画から起こされたカットでも、画面から受ける印象がだいぶちがいます。
鬱々として病んだ雰囲気が強調されたテレビシリーズと、
そういった部分が削ぎ落とされた新劇場版との表現方法のちがいが
よく表れているカットではないかと思いました。



■ミサトの家の中のカット

TV「新世紀エヴァンゲリオン」、映画「新劇場版:序」より
(人物の大きさに合わせてテレビシリーズの画面を拡大しました)

・テレビシリーズの原画をトレス
・画面上のみをカット
・背景の細部描き込み増


1990年代のアニメ独特の、パキっとした体のラインも
そのまま再現されています。



■絵の面でテレビシリーズとの一番のちがいは、ラミエルがCGで描かれ
変形するようになった他に、3DCGが導入されたことで、背景を映す際にカメラが立体的に
動けるようになったことではないかと思いました。

映画「新劇場版:序」より
『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序』より 地面から高層ビル群が生えてくるシーン

テレビシリーズでは固定カメラで遠目に眺めるだけだったビルが、
新劇場版はカメラがビルとビルの谷間に入り、俯瞰の構図から
ワンカットでカメラが下りて来ます。

セル画の時代でもそのようなカメラワークは可能だったと思いますが、
ビルの角度を変えたり動かすためにビルをセル画に描く必要があり、
水彩画っぽい背景画(実際は画用紙にポスターカラーで描かれるそうです)
がセル画塗りへと質感が変わります。




■「レイアウト」「原画」「動画」について

レイアウト、原画、動画の説明はこちらの記事がとてもわかりやすいです。
スタジオジブリ映画『ゲド戦記』の公式ブログです。

特集コラム「ゲド戦記はこうして生まれる」 - ゲド戦記制作日誌
(4) ─レイアウト(後編)─
(5) ―原画・作画監督―
(6) ―動画・動画検査―


ゲド戦記制作日誌 - スタジオジブリ
より画像を引用します。
「ゲド戦記」より

画像上から、「レイアウト」、「原画」、「動画」です。

レイアウト:
画面の設計図。どこに何を描くか、カメラ位置や構図を決める。

原画:
絵を動かす。動きの始点、終点、ポイントになる動きを描く。

動画:
原画をトレスして清書した絵。
(視聴者が目にするのはこの清書した線画)
原画と原画の間の動きを描く。(「中割り」と呼ぶそうです)


参考リンク:
アニメーター - Wikipedia
原画 - Wikipedia


■「作画がいい」「動きがすごい」というのは原画を指すもの。
「輪郭線が雲形定規で引いたみたいに綺麗」というのは
動画を指すものだと思います。

原画を描く人が「原画マン」で、動画を描く人が「動画マン」。
上手な動画マンは原画マンに昇格するそうです。


ものすごく大ざっぱにまとめてしまったので、ぜひ元記事の
ゲド戦記制作日誌をご覧ください。
アニメの制作過程がよくわかって面白いです。


拍手を押してくださった方、どうもありがとうございました。


関連記事
日テレ再放送版「新世紀エヴァンゲリオン」の残像処理 - 映像大好き

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日テレ再放送版「新世紀エヴァンゲリオン」の残像処理 

■ポケモンショック対策により、画面が残像処理されて放送されました。

「加工前後の比較」
「残像処理されなかった場面」
「日常シーンのカットの繋ぎ方の面白さ」
などについて書きたいと思います。


『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破』公開記念
「新世紀エヴァンゲリオン」一挙放送

TVシリーズ『新世紀エヴァンゲリオン』
第1話~第3話
(日本テレビ 2009年6月30日 午前1:59~3:29放送)



1995~1996年に掛けてテレビ東京で放送された、アニメ
「新世紀エヴァンゲリオン」の再放送が日テレ深夜で始まりました。


放送形態
オープニングが流れたのは第1話のみ(ノンクレジット版OP)。
2・3話はOPが省略され、エンディングは1~3話とも有り。という放送形態でした。


画質
画面は本放送当時よりクリアで、色は鮮やかでどぎつ過ぎず綺麗です。
本放送時は暗くてつぶれていた部分も良く見えるようになっています。

画面の中の空気感・粒子感(フィルムグレイン)が出ておらず、
背景だけが映るシーンや静止画のシーンなどは
DVDを一時停止したような不自然さはあります。
恐らくリマスター版DVDを放送しているのだと思います。


残像処理
オープニング・本編ともに、ポケモンショック対策(後述します)で
画面を一部加工して放送されました。
特にオープニングは残像処理された部分が多く見られます。
液晶テレビでご覧の方で、残像が気になり、液晶画面のせいかと思った方も
いらっしゃるかも知れませんが、液晶のせいではありません。



残像処理とは?
↓これです。

画像:2009年6月30日放送 日本テレビ「新世紀エヴァンゲリオン」OPより
(クリックで拡大します)
再放送版「新世紀エヴァンゲリオン」OPより
(画像はどなたかがテレビ画面をキャプチャーして
ネット上にUPされていたものを拝借しました。勝手にすみません…)


動きの始点から終点まで、絵を繰り返しオーバーラップ※させているため、
被写体がブレて動きがギクシャクして見えます。
1995年の放送当時は、もちろんちゃんとコマごとにスムーズに絵が動いていました。
(画像の綾波レイのカットは静止画で、カメラがパンします)

オーバーラップ - goo国語辞典
(1)映画・テレビの技巧の一。ある画面の上に他の画面が重なって浮かび出し、次第に鮮明になるにつれて、もとの画面が消えるもの。二重写し。




■元の映像からコマを落とし、代わりに残像を重ねるのが残像処理です。
静止画では画像のように絵が何重にも見え、再生すると動きがギクシャク・
スカスカして見えるのが特徴です。


ポケモンショック事件後、すべてのアニメは放送前に機械でチェックされ、
ある条件を満たしたシーンは残像処理を加えてから放送されるようになりました。



残像処理の対象になる場面
・画面がチカチカ明滅する場合(画面効果)→現在使用されていない
・画面がフラッシュを焚いたように光る場合(画面効果)→現在使用されていない
・被写体が素早く動く場合(作画)
・被写体が大きく動く場合(作画)
1秒間24コマ全作画の迫力あるアクションシーンなど(作画)
・「落下する」「剣を振る」「画面の前を走って横切る」など、
画面の端から端へ何かが動く場合(作画)
・画面が素早くパンする場合(カメラワーク)
・カットが非常に細かく切り替わる場合(編集)→現在見掛けない手法

など



今回の再放送で残像処理された部分(オープニング:1分30秒)

・タイトルバック(0分14秒)
タイトルロゴが出る直前、白地に黒い画面効果(斜め十字架)が
曲に合わせてテンポ良く幾重にも重なるシーン。
→黒い斜め十字が全消し+薄く消されている。

・目を閉じ、顔を上げながら目を開くシンジの両目のアップ(0分55秒)
→目を開けた後の顔の動きが、残像処理によりガクガクしている。
(間の動きが抜かれている)

・顔を上げるエヴァ(0分57秒)
→0分55秒のシンジと同様の加工

1分6秒~1分22秒の間すべて(「監督 庵野秀明」の文字が出るまで)
→16秒間絶えず画面がギクシャクしている

・ミサトがゆっくり顔を上げる部分(1分21秒)
→同様にガクガクしている



参考動画(残像処理されていない本来のOP)
新世紀エヴァンゲリオン OP - YouTube (1分30秒)



■残像処理されていないOP映像も一部流れました。
番組内にて流れた『日テレ限定 新世紀エヴァンゲリオンDVD-BOX』のCMで、
タイトルバック(0分14秒)部分が残像処理なしで放送されました。(約2秒間)
番組を録画された方はぜひ加工版OPと見比べてみてください。
加工なしのタイトルバックは、番組開始の1時59分から録画した場合
56分50秒と、1時間26分50秒のところで流れます。



■エヴァンゲリオンのオープニングは、激しくカットが切り替わる手法が
当時話題になりました(と思います)。
比較的ゆったりした作りの前半に対し、OP終盤は
ぎりぎり目視できるかできないかくらいの短い映像が、
16秒間に渡ってパパパパパッ とテンポ良く映し出されます。
曲のテンポとぴったり合ったカット割りが気持ち良いです。
速すぎてほとんど認識できないカットも挟み込まれていますが、
見せるところはしっかり見せています。

とてもかっこいいOPですが、終盤の16秒間は62カット(数えました/笑)
という壮絶なカット数です。
そのため、現在地上波でそのまま放送するのは難しいのだと思います。



ポケモン事件
1997年、アニメ「ポケットモンスター」の画面がチカチカ明滅する演出
(「パカパカ」)を見た方が、光過敏性発作を起こす事件がありました。

参考:
ポケモンショック - Wikipedia

以後、各テレビ局では画面の点滅に関するガイドラインが作られました。
当時アニメでまれに見掛けた、画面全体の過剰なチカチカは
確かに眩しかったです。
アニメでは画面全体または一部がチカチカ光る効果や、
エヴァンゲリオンOPのように細かくカットが切り替わる演出が使われなくなりました。



■日本のアニメの大きな魅力の一つである「メリハリのある動き」
(タメて、一気に動かすなど)や、「動きの気持ちよさ」が感じられる作画も
局によっては規制の対象となりました。

この「どんなシーンを残像処理するか」は
テレビ局や番組によってかなり基準がちがうようです。

例えば、今回日テレでは残像処理されたエヴァンゲリオンOPは、
NHK-BS2では加工されずそのまま放送されました。
(2005年3月28日放送「BSアニメ夜話」でエヴァンゲリオンが取り上げられ、
ノンテロップOPが放送された際)

BS放送は地上波よりも基準が緩いのかも知れません。



■TVアニメ「スレイヤーズREVOLUTION」(テレビ東京 2008年放送)
では、オープニングの多くの部分が残像処理されて放送されましたが、
番組枠内で流れる「AT-X 超スレイヤーズ祭」CMにおいては
同オープニングが残像処理なしで流れました。

・残像処理が加えられたOP
スレイヤーズREVOLUTION OP - YouTube (1分45秒)

残像処理されている部分:
・動画の0分35秒、リナとリナの髪の動き
・0分41秒、リナの顔と緑の輪の明滅
・0分46秒~1分00秒、ガウリイの剣~カメラ回り込み~各キャラ紹介、のすべて
・1分13秒、アメリアの動き
・1分20秒~1分26秒、戦闘シーンすべて



■TVアニメ「隠の王」(なばりのおう)(テレビ東京 2008年放送)
のオープニングも残像処理されての放送でしたが、
「隠の王」DVDのCMでは処理なしのものが使われていました。

・残像処理が加えられたOP
隠の王 OP - YouTube (1分30秒)

残像処理されている部分:
アクションシーンはすべて残像処理されています。
重量感やスピード感、なめらかさなどの作画のニュアンスが消されています。


・残像処理なし(本来のOP)
隠の王 OP HD 高画質 - YouTube (1分30秒)

0分54~58秒のアクションシーンや、
1分14秒、たくさんの赤い彼岸花が画面左から右へ向かって
舞う部分を見比べるとちがいがわかりやすいと思います。
こちらは動きがカクカクしていません。
(動画の画質のちがいのせいではありません)



■ポケモンが放送されたテレビ東京は、特に厳しい基準を設けています。
アニメ番組等の映像効果に関する製作ガイドライン - テレビ東京公式サイト
より以下引用です。

2. 急激なカットチェンジや急速に変化する映像も、光の点滅と同様の影響を与えるので、1/3秒に1回を超える使用は避けるべきである。
(引用終わり)



前述の「残像処理の対象になる場面」の、
・被写体が素早く動く場合(作画)
・被写体が大きく動く場合(作画)
・1秒間24コマ全作画の迫力あるアクションシーンなど(作画)


は、テレビ東京ガイドラインの「急速に変化する映像」に該当します。

この基準でいくと、もしエヴァンゲリオンを今テレビ東京で再放送したら、
戦闘シーンのほとんどはスローモーション加工と残像処理が必要です。
作画枚数が多く、緩急の付いた躍動感のある動きが多用されているからです。
戦闘シーンの作り込まれた作画がエヴァンゲリオンの魅力でもあると思います。



■今回の日テレ再放送は、ひょっとしたら本編の戦闘シーンはすべて
残像処理されるのではないかと思いましたが、
当時のまま放送してくれた部分が想像以上に多かったです。



~残像処理されなかった場面~

第1話Aパート
「第壱話 使徒、襲来」のサブタイトル文字が出た直後、
画面手前から奥へミサイルが飛び、一瞬シンジの顔がアップになり、
続けてミサイルを追ってカメラが横に素早くパンし、使徒サキエルが映る場面。

・画面効果とともに手前から奥へ飛ぶミサイル
・チカッと一瞬挿入される顔のアップ
・高速パン
は、通常は残像処理の対象ではないかと思います。


第1話Bパート
エヴァ発進の時、射出されたエヴァが射出口を高速で上って行くシーン。
肩の照り返しがチカチカ光っていますが、残像処理されていません。

(と思ったら、第3話の同シーン(バンク)は残像処理されています。
あれ!?なぜ!?
第1話の発進シーンをそのまま使い回しているのに、
なぜ同日放送の3話だけ規制されているのでしょうか。
肩の光と、射出されるエヴァの重さ・スピードを表現するわずかな機体の揺れが
残像処理により消され、重さがなくするーっと射出されているように見えます。)


第1話Bパート
射出口を出てエヴァが地上に現れるシーン。
固定カメラの画面全体を、被写体(エヴァ)が覆ったまま高速で動く
1秒ほどのカットがあります。
エヴァが顔・胸・お腹の順に一瞬でカメラを通り過ぎて行きますが、
この時エヴァがハイコントラストで影が真っ黒に描かれているため、
光の当たる部分と影の部分が交互に映って点滅と同じ効果を生み出しています。
ここを残像処理せず放送してくれたのはすごいことだと思います。
人気アニメだから可能なのでしょうか。
スピード感のある格好いいカットなので嬉しいです。

2009年7月3日追記:
7月2日放送の第5話では、上記カット(バンク)は残像処理されました


第2話Bパートの戦闘シーン
エヴァが宙返りして着地した後、敵に対して向き直るカット。
画面いっぱいに映ったエヴァ。カメラも被写体も大きく動きます。
カメラがエヴァにぐっと寄ると、頭部のみフレームアウトして
遠心力が掛かりながらまたフレームインして来る非常に格好いい作画です。
なんとここもそのまま放送してくれました。
このような画面いっぱい使ったスピーディで大きな動きは通常、
どの局でも規制対象だと思います。


■爆発やATフィールドの発光、地震のように画面が揺れるシーンなどは
すべて残像処理されています。(光っていなくても)
ですが、アクションシーンの作画をここまで加工なしで
見せてくれたことに驚きました。
出来る限り元の映像のまま放送したいという意思がうかがえると思います。

第3話のバンクシーンに残像処理が掛かっていたことを考慮すると、
1話・2話だけ特別に自主規制を緩めたのかも知れません。

残像処理があるのとないのとでは作画の魅力が格段にちがうので、
DVDの販促のために元のまま放送した可能性もあります。
今後どうなるかわかりませんが、もしかしたら光る・揺れるシーン以外は
極力加工されないのかも知れません。



■エヴァンゲリオンはポケモン事件以前に制作されたアニメなので、
点滅シーンはDVDでも画面を暗くしてコマ数を落とすなどの
加工がされているかも知れませんが(ちがったらすみません!)、
アクションシーンの重量感・スピード感のある作画が残像処理されていなければ
DVDが欲しいと思いました。



残像処理以外の対策 - TVアニメ
ポケモンショック対策として、残像処理の他に、
・画面にフィルターを掛け全体を白っぽくする
・画面を暗くする
・素早い映像や、作画枚数の多い映像をスローモーションに加工する
などの対策がとられています。
ポケモン事件以前に制作された作品だけでなく、現在の新作も
放送時に加工されています。

加工の実例が画像付きでわかりやすく解説されているページがありました。
ポケモンチェックとは? - TVアニメ資料館




「エヴァンゲリオン」の特徴的な演出
日常シーンのカットの繋ぎ方が映画的です。
こんなシーンがありました。

第2話Aパート:

ミサトの運転する車に乗っているシンジ。
車はトンネルの中を走っている。

ミサト「さーて、今夜はパーッとやらなきゃね」
シンジ「何をですか」
ミサト「もっちろーん、新たなる同居人の歓迎会よ」

ブオ ←車の音

カットが切り替わり、コンビニ前に停まっているミサトの車が俯瞰で映る。
カットが切り替わり、買い物カゴいっぱいのコンビニ弁当やビールが大写しになる。



この時の「ブオ」が面白いです。

通常「ブオーー」と適度に車の走行音を聞かせることで、
「この車はこれからどこかへ向かおうとしています」と
視聴者に説明してから場面転換するのではないかと思います。
この場合の車の音は、「次の場面に移ります」という記号です。
視聴者はそのメッセージを受け取って、無意識に「今場面転換するんだな」
と予測しながら画面を見ています。

ところがこのシーンは、車の「ブォ」の音が途中で切られています。
一瞬車の音が出たところで次のシーンに移り、
唐突に場面転換したような印象を持たせます。

あっ、と思ったらもう2人はコンビニに居る。
テンポの良さと極力BGMを使わない静けさ、間の取り方が
昔の白黒映画みたいで素敵です。

ミサトの「さーて今夜はパーッとやらなきゃね」のセリフから、
コンビニ弁当が大映しになるまでに要した時間は約13秒間でした。


拍手を押してくださった方、どうもありがとうございました。


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(『AKIRA』など。PVと元のアニメの画像を照らし合わせました)

アニメ「魍魎の匣」オープニングの変更点 

日テレ『魍魎の匣』
原作:京極夏彦
制作:マッドハウス

第3話 2008年10月22日放送

第3話からOP(オープニング)が完成版に変わりました。
ぱっと見、完成版に変わったことに気が付かないくらい細かい変更ですが、(主にCGによる画面効果(エフェクト)の変更)手間の掛かった丁寧な変更に驚いてまじまじと見てしまいました。

1・2話放送時のOPと見比べて、気付いた変更点を書きました。
カッコ内は秒数です。
たとえば「00:04~00:12」は、OPの始まりを0秒として、4秒~12秒の部分の変更点について書いています。
OP全体は1分15秒です。


・OP全編を通した変更点
CGで作られた半透明の桜の花びらが常に画面の中を舞っている

・タイトルバックの変更点(00:04~00:12)
1.半透明の日本風の文様が画面全体に複数重ねられていたが、重ねられた文様がすべて作り直されている(文様の柄、配置、動きが変更)

2.「実写の水の揺らめきを撮影して作られた効果」が画面全体に合成されていたが、なくなっている。
それに代わって加えられた新たな効果は無く、タイトル画面がすっきりした印象に。


・約4秒間の榎木津のカット(00:23~00:27)
変更前:画面の濃さが4秒間一定
変更後:コントラストきつめに加工→その後、画面全体が徐々に白っぽくなる

・木場の背景の桜の文様(00:28~00:32)
変更前:静止画
変更後:ゆっくりと回転

・同カット
木場がタバコをふかす直前、一瞬画面がネガポジ反転(00:30)

・陽子が正座している後姿のカット
フィルムがかたついたような効果が加えられた(00:33)

・空に重ねられた半透明の模様
模様の色が薄くなった(00:47~00:52)

・水面に波紋が広がるカット~踊る加菜子のカット(00:55~01:02)
半透明の風ぐるまが重ねられた

・踊りながら画面を右から左に横切り、ワイプ(画面転換)の役割をする加菜子(01:00~01:02)
加菜子の色が濃くなっている。
(きつめに掛けられた白いフィルターを薄く変更)

・京極堂、関口、木場、榎木津の4人が座卓を囲むカット(01:02~01:08)
画面に重ねられた、半透明の模様の変更(柄、配置など)

・本(ノート?)のページがめくれて画面転換するシーン(01:07~01:08)
変更前:めくれるページの輪郭が実線で描かれている
変更後:実線が消され、めくれるページが色の濃淡のみで表現されている。より繊細な表現に

・机の上に本(ノート)が置かれているカット。変更点3つ(01:08~01:15)
1.マーブリングした水面のような映像が重ねられた
(マーブリング…水の上に液状の絵の具を垂らし、マーブル模様を作る方法)

2.ノートが風でパラパラめくれる部分(01:08~01:11)
変更前:ページのめくれる動きがCG(CGによる残像処理?)
変更後:手描きの一コマ作画※に変更

(※一コマ作画…1秒間24コマすべてで絵が動く、手間の掛かる丁寧な作画。通常は1秒間8コマの場合が多い)

3.ラストで一瞬画面が暗くなる(01:15)


■その他
所々で模様のように一瞬現れる文字も差し替えられています。
作画のやり直しや新作カットはありませんでした。


■変更点は
CGによる画面効果の追加のみだと思いますが、ひと口にCGと言ってもすごく凝っていて、CGの追加でこんなに厚みのある画面に変化するのかと驚きました。
関口のカットには「ピントが合ったりぼけたりする透明な何か(実写の液体から作った効果?)」に「半透明の桜吹雪」が重ねられています。
随所に現れる文様の画面効果は、追加されたと言うより最初から作り直したという印象です。
差し替えられた文字は、字の変更だけでなく、文字が現れるタイミングも変更されています。


■第1話・2話の時点では、
OPが未完成だとはまったく思いませんでした。
1・2話のOPはちょっと曲のリズムに対して画面の中の動きが足りず、微妙に間延びしているように感じましたが気になりませんでした。
第3話で桜吹雪が追加された完成版を見て、こうなるはずだったのかと納得しました。
完成度が上がり、余計なものがくっついたという印象を受けさせないのもすごいと思います。
完成版はより繊細で幻想的な印象です。


前回拍手を押してくださった方、どうもありがとうございました。

オープニングの変更点は気が付いたら追加します。

「鉄のラインバレル」煙の作画 

TBS「鉄のラインバレル」(くろがねのラインバレル)
第1話 2008年10月4日放送
第2話 2008年10月11日放送

人物などは手描きで、ロボットは3DCGで描かれています。
ロボットの他に煙などの描写が部分的に3DCGでした。

ロボットが着地したりビルに叩き付けられたりした時に巻き上がる煙は3DCGで作られていて、人物の周りに描かれる煙は手描きでした。

煙や爆発、波の作画などをエフェクト作画と呼びます。

「鉄のラインバレル」第2話の、オープニング→CMの直後の戦闘シーン。
ラストカットのエフェクト(爆発と煙)は3DCGだと思うのですが、見た目がかなり自然な上、分厚い煙の中で火が燃えている感じがよく出ていて見ごたえがありました。

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映像大好き - CGアニメとは-『崖の上のポニョ』は手書きのデジタルアニメ

CGアニメとは-『崖の上のポニョ』は手書きのデジタルアニメ 

「今のアニメは全部CG」
「セル画で作っているのはもうサザエさんだけ」
そう言われ始めて6年ほどになります。

そんな中、スタジオジブリのアニメ映画「崖の上のポニョ」(2008年 日本)は、手描きで作られていることがテレビや新聞の報道で強調されていました。

そう「崖の上のポニョ」は手描きアニメです。そしてデジタル制作(CG制作)アニメです。
CGを使っているのです。
しかし宣伝や報道で「CGを一切使っていない」と言っていたのも嘘ではありません。

一体どういうことでしょうか。

このわかりにくさは「手描き」と「セル画」、「CG」と「デジタル彩色」をごっちゃにしている(説明を省いている)ことから起きています。

現在日本で放送されているアニメのほとんど※は「手描きアニメ」です。
そう、「崖の上のポニョ」や従来のセル画のアニメと同じく、紙の上に人間の手で絵を描いて作られています。

(※例外として、テレビ東京『おねがいマイメロディ きららっ☆』はFLASHでの制作、同局『きらりん☆レボリューションSTAGE3』は3DCG「トゥーンレンダリング」という手法で制作されています)
(また、『創聖のアクエリオン』『マクロスF(フロンティア)』『鉄のラインバレル』などのロボットアニメではロボを3DCGで作り、ロボ以外の手描き部分とロボを合成して画面を作っています)


では現在「サザエさん」以外のすべてのアニメのどこがCGなのかと言うと、描いた絵に色を塗る作業と、仕上がった絵を撮影する作業をパソコン上で行っていることを指しています。
パソコン上で色を塗ることを「デジタルペイント」(デジタル彩色)と言います。

■セル画のアニメの制作過程は大まかに分けると以下のような感じだと思います。
1997~98年頃までは、ほとんどのテレビアニメがこの作り方でした。

1.紙に鉛筆で絵を描く
2.紙に描いた絵を、「セル」と呼ばれる透明なシートにトレスマシンという転写機を使って転写する
3.セルに転写された鉛筆画に絵の具で色を塗る
4.撮影台の上にセル画と背景画を重ねて置き、1コマずつセル画を取り替えながらカメラで撮影する



■そして現在のアニメの制作工程です。
デジタル彩色、いわゆる「CG」が導入されてこのような作り方に変わりました。

1.紙に鉛筆で絵を描く。これはセル画の時と同じです。
2.紙に描いた絵をパソコンに取り込む
3.取り込んだ線画にパソコン上で色を付ける
4.パソコン上で撮影する



「崖の上のポニョ」は後者の方法で制作されています。
紙の上に絵を描き、パソコンに取り込んで色を塗り撮影する。
つまり今放送されている普通のテレビアニメと作り方は同じなのです。

では一般的なアニメと同じではないか、なぜさも特別な作り方をしているかのように「手書き」を強調していたのか、というとそれには理由があります。


■「崖の上のポニョ」と他のアニメとの違い
一般的なテレビアニメでは、たとえば人物がぴたっと直立していて、風に吹かれて髪の毛だけが揺れている、というアニメを作る時、髪の毛だけを動かします。(場合によって違うと思います)
(1秒間24コマをフルで動かすとして、人体の絵を1枚描き、動く髪を24枚×秒の分描く?←間違っているかも知れません)

ところが「崖の上のポニョ」では、動いていない部分もコマの数だけ描いているのです。
上記の例で言えば体も24コマ分描くのですね。
すると、宮崎駿さんが「ポニョ」公開前のインタビューで言っていましたが「ぶよぶよ動く」感じが出ます。静止している場面でも、絵が微妙に動くのです。
まさに絵が生きている感じが出ます。
これは大変な手間の掛かる作業なので、数カットだけならまだしも、全編を通してこの作り方をするのはテレビシリーズでは不可能かと思います。映画だからこそ実現した表現ではないでしょうか。

このことから「崖の上のポニョは手描きアニメ」ということを強調していたのだと思います。


「アニメーターさんが絵を描く作業」のことを作画といいます。
デジタル導入後の一部のテレビアニメでは、従来は作画していた部分にCGを代用して手間を省くことがあります。
例えば「遠ざかっていく車」「近付いてくる車」をCG導入以前は1コマずつ描いていました。今の一部のアニメでは、車の絵を1枚だけ描きCGで拡大・縮小して遠ざかったり近付いたりしているように見せる場合があります。
「ポニョ」ではそういうことはせず、人の手で一コマ一コマ描かれています。

また、冒頭に書きましたサザエさんは、オープニング・エンディングと、「サザエさん」のキャラクターが登場するJAバンクやコカコーラのCMがデジタル制作(セル画を使っていない)です。


■「『崖の上のポニョ』は手書きのデジタルアニメ」まとめ
・崖の上のポニョが「CGを一切使っていない」のは作画に関してのこと
・セル画は使っていない
・彩色と撮影はパソコンで行っている=デジタルアニメ
・動かない部分もコマの数だけ描いているので「手書き」を売りにしている。そのため生き生きと絵が動く

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