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計算し尽くされた映像 SMAPポカリスエットCMラグビー編 

SMAPチームとおじいさんチームが、住宅街の空き地でラグビーの試合をするCMです。
おじいさんの俊敏な動きが印象的です。

大塚製薬 ポカリスエットCM
「いきなり果たし状/ラグビー」篇(SMAP vs THE OLD MEN)(60秒バージョン)

(YouTube動画へのリンクです。別窓で開きます。
香港放映版。最後のナレーション以外は日本版と同じです)

監督(CMディレクター):関口現(せきぐち げん)
CG制作:林田宏之
出演:SMAP(中居正広、木村拓哉、稲垣吾郎、草剛、香取慎吾)



放映開始日
2008年3月22日より放送
15秒、30秒、60秒バージョンが放送されました。

おじいさんは本物?
砂煙を上げて「トライ」したり、中居正広・香取慎吾の2人を引きずりながら走っているおじいさんを演じているのは、特殊メイクをした40代の男性だそうです。
(日テレ「ズームインスーパー」、フジテレビ「めざましテレビ」より)

CGについて
CGが使用されています。おじいさんが香取・中居を引きずるシーンはロープで引っ張って実際に撮影されたそうです。
ではどこにCGが使われているのでしょう。以下は憶測です。

・引きずられる香取・中居を引っ張っているロープを消す
・画面全体をセピア掛かった色調、ざらついた画質に統一する
・木村拓哉が中居正広にボールをパスするシーンは、パス直前とパスの瞬間を別々に撮影しているが、ワンカットに見えるように加工する

などにCGを使用しているのではないかと思います。
(映像を見ての憶測なので間違っているかも知れません)

草剛役はスタントマン?
草剛がおじいさんにタックルされて地面に体を打ちつけるシーンがあります。
タックルされた草の体が宙に浮くところを正面から、体が地面に激突するところを背後から見せています。
メイキングでは地面に敷いたマットの上に草剛本人が倒れ込んで撮影していました。これは正面からのカットの撮影だと思います。
背後からのカットは恐らくスタントマンが演じていると思います。かなり高い位置から全身を強く地面に打ちつけています。

撮影場所
ロケ地は都内の空き地で、映っている物はほぼ全部セットだそうです。


細かいカット割り
30秒バージョンでは、試合シーンが流れる時間は16秒です。
その16秒間に20のカット※が割られています。

※カット…
映画・テレビなどの撮影で、一台のカメラが写し始めてから写し終わるまでの一つの場面。ショット。
(goo国語・新語辞書より引用)
連続的に撮影された前の映像から次の映像へ転換する事。映像を切り繋げていく作業をカット割り(する)という。
(Wikipediaより引用)


試合のシーンは非常に細かくカットが割られています。
でも、そのために目がチカチカしたり、場面の移り変わりが速すぎて何が起こっているのかわからなくなるということがありません。
素早く動く被写体(SMAP、おじいさん達、ボール)を、遠景、アップ、前から、後ろから、横から、とほぼ毎秒カメラの視点がぐるぐる切り替わりながら捉えていきます。
見ていて目が回ったり、画面の中の状況を理解するのが困難になる場合もある演出です。
しかしこのCMは視聴者の視線を巧みに誘導して、ぼーっと眺めていても必要な情報が目に入ってくるように作られています。


木村拓哉が中居正広にボールをパスするシーンでは、パス直前とパスとの間でカットが割られていますが、見ていてカットが切り替わったことに気付きにくい作りになっています。
画面中央に映っている木村拓哉が次のカットでグン!と左に配置され、画面手前の中居正広にボールをパスします。
ワンカットでカメラが大きく移動したように見えて、実はカット割りされているのでカメラはブレずに安定していますし、スピード感も出て面白い映像になっています。

ポカリスエットCM
「画像1枚目(走る木村拓哉)」と「画像2・3枚目(木村拓哉が中居正広にボールをパス)」は別々に撮影されています。
映像では、繋ぎ目がほとんどわからないように「カメラが一気に引いた」風に画面の動きが加工されています。

画像2枚目から3枚目に掛けてカメラが引いたように見えますが、実際の撮影ではカメラは引かずにレールで横移動しており、ズームバック※もしていないと思います。
映像を後から拡大加工してカメラが引いたように見せているのではないかと思います。

※ズームバック…
映画などで、カメラは固定したままズーム-レンズを使用して被写体から遠ざかってゆくように撮影すること。
(goo国語・新語辞書より引用)


中居正広と香取慎吾が同時におじいさんに飛び掛かるという1秒足らずのシーンがあります。
その1秒間の映像が、3つにカット割りされています。

ポカリスエットCM
「飛び掛かろうとする」
「飛び掛かった瞬間」
「2人の手がおじいさんの服を掴む」
の3カット計1秒弱です。このあと2人は腹ばいのままおじいさんに引きずられて行きます。

これだけ細かくカットが割られていると、目がチカチカして疲れたり、今の場面、一瞬でよくわからなかった。もっとよく見たいなあと「見逃した」感覚に陥ることがあります。
ですがこのシーンは、飛び掛かる瞬間が一瞬しか見えないにも関わらず「飛んだ」「服を掴んだ」「引きずられた」映像が目に飛び込んできます。


草剛がおじいさんにタックルされる場面では、タックルを受ける草を正面から、そのまま地面に仰向けに倒れる草を背後から撮る、というように一瞬でカメラが反対側からの視点に切り替わりますが、カットの繋ぎ方が上手く、被写体の動きの流れを見失うことがありません。

目まぐるしくカメラの視点が切り替わりますがストレスを感じさせません。
短いカットの連続なのに動きが繋がっています。スピーディーで楽しいCMです。


拍手を押してくださった方、どうもありがとうございました。


(2008年10月25日追記)
草剛がおじいさんにタックルされるシーンの撮影方法について、図をまじえて書きました。
映像大好き - SMAP「ポカリスエット」CMの撮影方法


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NHK 北野武インタビュー 

9月12日にNHKで放送された、北野武インタビューが面白かったです。
一部ですが書き出しました。

NHK「生活ほっとモーニング この人にトキメキっ!『北野武』」より

・「その男、凶暴につき」(1989年)は深作欣二が監督するはずだったが、主演である自分のスケジュールだけが合わず撮れなかった。
「じゃあ監督してみませんか」と言われて引き受けた。脚本も書き直し、元の企画通りなのはタイトルだけとなった。

・「その男、凶暴につき」の撮影スタッフはベテランばかりで、「たけしに何が出来るんだ」という雰囲気だった。
舐められてはいけないと思い、冗談で「あの電柱邪魔だから外して」とか無理難題をふっかけたらみんな本当に電柱を外そうとする。
明らかに冗談だとわかるような注文に本当に答えようとするので監督ってすごいんだなと思った。

・(「その男~」の時)カメラマンとは喧嘩した。
「喉から下~膝から上だけ撮って。顔はいらない」とか「顔を中途半端に入れてくれ」と指示すると
「そんなことできないですよ、ミスしてるってカメラマン仲間に笑われます。カメラちゃんと扱えないじゃないかってカメラマンの先輩に怒られます」と言って顔を入れて撮ってしまう。
「俺は顔を入れてない絵が欲しいんだけど」と言い合いになった。
カメラマンは技術はあるが新しい冒険ができないようで、カメラをぶらしてくれと指示してもカメラマンの手は自然にブレを直そうとする。
照明さんやカメラマンは先輩から受け継いだ芸をなかなか破る勇気がなく、いきなり全部破れと言ったので揉めたが、最終的にはいい映像ができた。

・(インタビュアーに「編集もされているんですよね」と訊かれ)
1本目(「その男、凶暴につき」)から編集した。これがまた編集マンと喧嘩になった。
編集マンに「そこで切って」と言うと
編集マン「え」
北野「そこで」
編集「ここで切れないでしょう」
北野「いや(切って)後ろ回して」
編集「普通そんなことしませんよ」
とものすごく怒られた。長すぎる、編集の基本から外れてると言われた。
出来上がった映画は「珍しい映像」と評価は高かった。

・プラモデルは組み立てる時が一番楽しいのと同じで、映画は編集が一番楽しい。
映像を撮っている時が、プラモデルのパーツ。
できた映像を繋げるのがプラモデルを組み立てる作業。
車のプラモデルなのにパーツがない時がある。ハンドルがなかったりタイヤが足りなかったり。
映画の編集では、ハンドルがなかったらタイヤをハンドル部分に付ける。そうするとタイヤだったパーツがハンドルに見える。

・1993年の黒澤明監督との対談VTRが少し流れる。
黒澤「(北野作品は)余計な説明がないところがいいね。今の日本映画は説明が多すぎるから」

・「北野ブルー」について
ヨーロッパなどと違い東京の街並みには特徴がなく、色んな色が出ていてつまらない。(※色彩が雑多という意味だと思います)東京も香港も北京も同じように見える時がある。
一番東京らしいのは品川とかのトタン屋根やグレーの壁、グレーの空。
余計な色が入って来ないのでそこばかり撮っていた。照明さんが上手く淡くやってくれた。
すると外国でキタノはブルーを基調とする映像だ、キタノブルーだと言われたので幸運だった。
そうしたら北野組のスタッフがキタノブルーだと喜んで、関係ないのに何でもかんでもブルーにする。そこはいいんだけどっていう所まで(←どこまで本当か定かでない話しぶり)

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GIRL NEXT DOOR「偶然の確率」PV 

■エイベックス「GIRL NEXT DOOR」のデビューシングルのプロモーションビデオ

巨額の製作費を投じたと謳われている通り、全編海外ロケによる映画のような作りのPVです。

鉄塔に落雷し、電線に電流が走る映像がとてもよく出来ています。
PVの3分12秒~3分15秒くらいのところの、2カット計3秒の場面です。
電流の雷のような動き、特に2カット目の後半の電流の動きが驚くほどリアルです。

1カット目
「偶然の確率」

2カット目(クリックで拡大します)
「偶然の確率」
この形の鉄塔は「烏帽子型鉄塔」と言うそうです。

画像ではよく見えませんが、2カット目の、前から2、3本目の鉄塔から電気が電線に絡まるように左へ走って消えていくまでが特に好きです。

画像の2つのカットには大きく分けて「フラッシュのような強い光」「火花」「煙」「電流」の4つの効果が付けられています。
効果はCGですが、1カット目の火花は実写合成なのかフルCGなのかわかりません。CGなのでしょうか。火花の質感も動きもとてもリアルです。
(追記:火花の広がる方向が画面ぴったりなのと、火花の光が強い(火花の明るさと粒の大きさが強調されている)のでCGなのだと思います)

質感から電流がCGだとわかりますが、動きが素晴らしいです。
動きにCG独特の軽さや実写から浮いている感じが少なく、電流が電線にまとわり付いている、電線の上を走っている感じがとてもよく出ています。

PVの監督の名前と製作期間が知りたかったのでネットで調べたのですが、CG部分の製作期間はよくわかりませんでした。


「偶然の確率」PV監督:武藤眞志(むとう まさし)
(宇多田ヒカルの「HEART STATION」のPVを監督した方です)

PVの撮影は2008年6月5日から8日に掛けてロサンゼルスとラスベガスで行われたようです。
GIRL NEXT DOORスタッフブログに「7月1日のYahoo!ライブトークにて『偶然の確率』ミュージックビデオのフルサイズが初オンエア」とあるので、素材が揃ってから約3週間で編集を終えたことになります。
ですが、鉄塔の電線に電流が流れるカットには人物が映っていません。
ここだけ事前に撮影してCGを作った可能性もあると思うので、電流のCGはどれくらいの期間で作ったのかはやはりわかりませんでした。

(GIRL NEXT DOORメンバーブログスタッフブログそれぞれに「6月16日、17日にPVのスタジオ撮影」とありますが、この時のスタジオ撮影による映像は19本作られたというショートバージョンのPVにのみ使われており、武藤眞志監督バージョンのPVには使われていないように見えます)

タキシードを着て劇場の観客席に座っている場面と、ステッキを持ってダンスする場面が「ロサンゼルスシアター」での撮影、砂漠を歩くシーンと屋外に並べたネオンの前で歌うシーンがラスベガスでの撮影だそうです。
エイベックスのサイトに撮影時の様子が書いてありました。

GIRL NEXT DOOR公式サイト内の「SPECIAL」より
「GIRL NEXT DOOR「偶然の確率」ジャケット・ミュージックビデオ撮影日記!
In ロサンゼルス&ラスベガス」
GIRL NEXT DOOR「偶然の確率」ジャケット・ミュージックビデオ撮影日記!
GIRL NEXT DOOR「偶然の確率」ジャケット・ミュージックビデオ2日目の撮影!
GIRL NEXT DOOR「偶然の確率」ジャケット・ミュージックビデオ3日目の撮影!
GIRL NEXT DOOR「偶然の確率」ジャケット・ミュージックビデオ4日目の撮影!

GIRL NEXT DOOR(ガールネクストドア)
ボーカル:千紗
キーボード:鈴木大輔
ギター:井上裕治
2008年9月3日発売シングル「偶然の確率」でデビュー


(追記)
「偶然の確率」
画像の、前から2本目の鉄塔から3本目の鉄塔に電流が走る瞬間に、2本目の鉄塔の右の上端にちらちらと火が上がります。

「偶然の確率」
見る人の意識がそちらに向くと同時に電流は3本目以降の鉄塔に流れて消えていきます。

「偶然の確率」
視線はちらちら燃える火に向いているので、高速で流れる電流が視界の左端に映って綺麗です。
1秒ないくらいの一瞬の出来事です。

北野武監督「菊次郎の夏」の映像を図解 

「菊次郎の夏」
(1999年 日本)
監督・主演:北野武(ビートたけし)

白黒映画を思い出させるような、引き締まった画面構成に大変興奮しました。
ワンカットワンカットが一枚の「絵」として成立しており美しいです。
地平線の位置、人物の配置、画面の中の余白の分量…無駄がなく、構図がばっちり決まっています。

なぜ画面が引き締まって見えるのでしょうか。

菊次郎(たけし)がプールサイドを歩く場面があります。
(人物が小さくなってしまいました。本当はもう少し人物が大きく、プールはもう少し小さいです)
kikujiro01


■物の配置
色を抜いて、線だけで見てみます。
描いた絵が小さくて見づらいので拡大しました。線がカクカクしていてすみません。
kikujiro02

プールの向こう側に見える棒は電柱です。
ちょうど画面の中央に電柱が映るように撮られています。
プールから上がる時に使用するはしごの手すりが、電柱を包み込むように等間隔で配置されています。
(本当に綺麗にシンメトリーになっているのでぜひ映画を観てみてください)


■色の濃さ
色の濃淡に注目してみます。
kikujiro03

電柱の下のほうだけ色が塗られています。その後ろには明るい芝生が広がります。
電柱の上のほうは色が塗られておらず、その後ろには濃い緑色をした木々が並んでいます。

色の濃い部分同士と薄い部分同士が重ならないように配置され、電柱の存在が際立っています。


■影の配置と、人物の進行方向
菊次郎はプールサイドをこのまま真っ直ぐ歩いて、画面の右からフレームアウトしていきます。

画面の左端に螺旋階段の付いた建物が映っています。建物は逆光を受けて影になっており、重たい存在感を放っています。
もしこの画面の中にこの建物が映っていなかったら、だだっ広い空間が広がるばかりでアクセントがなく、画面が締まらないのではないかと思います。

建物がドンと配置されているので画面左側には圧迫感があります。
菊次郎は、ひらけている右側に向かって歩いていきます。
観客の目が菊次郎の進行方向へ向くように、建物と影で上手く視線を誘導していると思います。

画面右端にはプールの底に引かれたラインが映っています。
画面左側ばかりが重たくなりそうなところを、一本のラインがアクセントになってバランスを保っています。


全体的に色の濃淡がバランスよく配置されています。
こんなにバランスのいい画面を作れるロケ地をどうやって見つけたのでしょうか。


このような一場面があります。
kikujiro04

kikujiro05

画面を一枚の絵として捉え、背景に電柱を置くことでバランスを取っているのだと思います。


画面向かって左の男性が常に電柱と重ならないように配置されています。
kikujiro06

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kikujiro08
これだと電柱の存在にあまり意味がない気がしますし、

kikujiro09
これだと電柱が邪魔な気がします。

kikujiro10
電柱がないと画面の下半分に情報が集中します。
ほのぼのとするシーンですが向かって左の男性の背が高いため、男性から子供に対して圧迫感のニュアンスが出る気もします。
背景に電柱を配置することで、視覚的な圧迫感を減らしているのではないでしょうか。


後日追記するかも知れません。
最後になってしまいましたが、拍手を押してくださった方、どうもありがとうございました。

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