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恐竜ドラマ「プライミーバル」コマ撮りアニメのようなCG 

CGの恐竜
CGなのに、まるでコマ撮りアニメのような
存在感のある動きが見られるカットがあります。


『恐竜SFドラマ プライミーバル 第2章』

第1話「ラプトル襲撃」
(NHK総合 2009年8月27日 20時~20時43分放送)


原題:『Primeval』
制作:インポッシブル・ピクチャーズ(2007年、2008年 イギリス)

第1シリーズ全6話
第2シリーズ全7話




■イギリスのテレビドラマです。イギリスでは2007年から放送が始まったそうです。

日本では、NHK総合で第1シリーズが今年1月に放送され、
第2シリーズは現在放送中です。(今週木曜日に第2話が放送されます)

参考:
恐竜SFドラマ プライミーバル|NHK総合海外ドラマ - NHK公式サイト
プライミーバル - Wikipedia


(第2シリーズの第1話しか見ていないため、他の回で
コマ撮りアニメ的な動きのCGが見られるかどうかわかりません、すみません。)



■どことなくコマ撮りアニメっぽい動き

動画はこちらで
Primeval Series 2 Episode 1 Part 4.
(『プライミーバル』シリーズ2 第1話 Part4) - YouTube
(5分28秒)

(主人公ニックは調査チームのリーダー。
ショッピングモールのエスカレーター付近でニックは
恐竜(ラプトル)に襲われそうになるが、仲間のスティーブンの撃った
麻酔銃が効いてラプトルは床に倒れる。間一髪助かるニック。
というシーンです。)

■動画の0分36秒~0分45秒の、倒れる恐竜(CG)の重量感に注目して見てみます。

「プライミーバル」シリーズ2 第1話より
恐竜が倒れる時、ゴトッという恐竜の頭部の重さがよく表現されています。
この硬質さを感じさせる動きは、CGではちょっと珍しいのではないかと思います。



「プライミーバル」シリーズ2 第1話より
また、恐竜が奥から手前に歩いてくる際は、
爬虫類的なギクシャクした首の動きが上手く再現されています。


■通常、3DCGの動きは、

・動きがぬめっとしている
・実写に比べて動きがなめらか過ぎるので、不自然に見える
・物体に重さがないように見える。実写のような重量感を表現するのが難しい


という特徴があるように思いますが、
この回に出てくるCGで作られた恐竜は、ストップモーション・
アニメーション(コマ撮りアニメ)を思わせる重量感のある動きが
まれに見受けられます。

爬虫類的なメリハリのある動きを追求した結果なのかも知れません。
子供の恐竜は体が軽そうに、大人の恐竜は重そうに、と
体重を描き分けることができています。


ストップモーション・アニメーション - Wikipedia
より以下引用です。

静止している物体を1コマ毎に少しずつ動かしカメラで撮影し、あたかもそれ自身が連続して動いているかのように見せる映画の撮影技術、技法。アニメーションの一種であり、SFXの一種。コマ撮り(コマどり)ともいう。
(引用終わり)





同じ回の別のシーンで、上記のCGが使い回されています。

動画はこちらで
Primeval Series 2 Episode 1 Part 5.
(『プライミーバル』シリーズ2 第1話 Part5) - YouTube
(9分7秒)

動画の6分30秒~6分32秒
「プライミーバル」シリーズ2 第1話より



上:第1話エスカレーターのシーン
下:同1話の別のシーン

「プライミーバル」シリーズ2 第1話より
恐竜の角度が同じです。



■そのままただ使い回しているのではなく、動きが微妙に変えられています。
先のカットは床で頭が大きくバウンドしていますが、
後者はほとんどバウンドしていませんし、倒れ込む時の頭部の角度も少しちがいます。

「プライミーバル」シリーズ2 第1話より
上のシーンの画像と下の画像とで、恐竜の頭の角度がちがいます。


「プライミーバル」シリーズ2 第1話より
尻尾の描く軌跡もちがっています。

後者の倒れ方は総合して「ぐにゃっ」としており、CGっぽい印象を受けます。



■恐竜がぼやけて見えるのはなぜ?

背景と実写の人物をCG合成する場合は、合成の不自然さを目立たなくさせるため、
人物の質感の情報量を減らしている。(人物にぼかしを掛けている)
そうすることで背景と人物との質感を馴染ませている。
という記事を以前書いたことがあります。

こちらです
Mr.Children「エソラ」PV 2種類の撮影方法 - 映像大好き
木村拓哉「日清カップヌードル」CM どの部分がCG合成か図解 - 映像大好き


以前の記事で触れた映像は、見ても気にならない程度のぼかし加減です。
よく見れば、人物の質感がのっぺりと加工されている。
合成なしのカットと見比べると質感がちがう。という程度です。

『プライミーバル』シリーズ2 第1話では、恐竜のCGにかなり大胆に
ぼかしが掛けられています。
そのため、恐竜は常にピントが合っていないような、ぼやけた感じに映っていますが、
CGっぽい質感が軽減されて見えると思います。



■メイキング映像

Primeval Making-of (season 1) part 3
(『プライミーバル シーズン1』メイキング part3) - YouTube
(9分28秒)

Primeval Making-of (season 1) part 4
(『プライミーバル シーズン1』メイキング part4) - YouTube
(6分09秒)

Primeval Making-of (season 1) part 5
(『プライミーバル シーズン1』メイキング part5) - YouTube
(7分38秒)

メイキング映像の動画です。(英語です)
合成シーンの撮影・演技・人形(ロボット)・CGについて、
俳優の方々や技術スタッフの方々が、それぞれ語っているようなのですが、
英語がわからないので何と言っているのかわかりません(;ω;)
でも映像を見るだけでも面白いです!

合成前の映像と、クリーチャーのCGを合成した後の映像を、交互に見せています。
撮影では、長い棒の先に白い球体を付けたものをスタッフが手で持って動かし、
俳優さんは白い球体をクリーチャーに見立てて演技しています。
棒を持ったスタッフと俳優さんが笑っているシーンは
思わずこちらも笑ってしまいます。

動画に出てくる緑色のトカゲのような小さい恐竜はCGではなく、
ものすごく精巧に作られたロボットで、驚きました。




Primeval Making-of (season 1) part 6
(『プライミーバル シーズン1』メイキング part6) - YouTube
(8分20秒)

こちらのメイキング動画の4分43秒~5分18秒では、
1.撮影時の映像
2.(1)にCGを合成した映像

を数カット分見ることができます。面白いです!


■動画の5分1秒~5分8秒では、「クリーチャーが車のフロントガラスを割る」
というカットが完成するまでの様子を、順を追って見せています。

「プライミーバル」シリーズ1 メイキングより
1.
ブルーバック(合成素材を撮影する際の背景)で車の
フロントガラスが割られるカットをスタジオ撮影。
カメラは車の中にあり、「車に乗っている人から見た様子」という設定で
固定カメラで撮影。
撮影用の特殊ガラスを窓にはめ込み、棒の先に付けた球体で
フロントガラスを車の外から叩き割る。


「プライミーバル」シリーズ1 メイキングより
2.
窓から見える景色(実写)をCGではめ込み合成。
この時車が揺れているように見えるけれど、
車ではなく合成した景色のほうを揺らして、車が揺れているように見せている。


「プライミーバル」シリーズ1 メイキングより
3.
3DCGで作られたクリーチャーを合成。
造形と動きは完成しているが、質感がまだ作り込まれていない。


「プライミーバル」シリーズ1 メイキングより
4.
クリーチャーにテクスチャを貼り付け、リアルな質感を作る。
光源に合わせてクリーチャーに影を付けて完成。



■気になる映像がたくさんあるのですが、
一ヶ月ぶりの更新になってしまいました。
(ブログの動作確認に時々使っていたノートパソコンが壊れてしまい買い換えました)


少し前のサーバー障害以降、ブログ管理画面の一部コメント返信機能に
不具合が出ていました。FC2さんに問い合わせたところ、
なんと直していただけました!
ユーザーの一人ずつに対応してくださるなんて、すごく感動しました…
FC2さん、どうもありがとうございました!


■ブログを始めて一年が経ちました。
ブログを見てくださる皆様、どうもありがとうございます!

拍手を押してくださった方、ありがとうございました。

マイケル・ジャクソン「BAD」と「ウエストサイド物語」比較 

■マイケル・ジャクソンのヒット曲『今夜はビート・イット』のPVや、
『BAD』のダンスの振り付けの中に、『ウエスト・サイド物語』を
下敷きにしている部分がいくつかあります。



■「BAD」と「ウエスト・サイド物語」


『BAD』(1987年)
作詞・作曲:マイケル・ジャクソン

『BAD』PV(ショートフィルム)監督:マーティン・スコセッシ
PV出演:マイケル・ジャクソン、ウェズリー・スナイプス他



動画はこちらで
マイケル・ジャクソン『BAD』PV ダンスシーン - YouTube (6分39秒)

『BAD』のノーカットPVは、ドラマ部分を含めると16分間あります。
上記のYouTube動画はドラマ部分がカットされています。



■映画『ウエスト・サイドストーリー』は、同名の舞台(1957年初演)が原作の
ミュージカル映画です。


映画『ウエスト・サイド物語』(West Side Story)
(1961年 アメリカ)
監督:ロバート・ワイズ、ジェローム・ロビンス
出演:ナタリー・ウッド、リチャード・ベイマー、ジョージ・チャキリス、リタ・モレノ他



参考リンク
ウエスト・サイド物語 (映画) - Wikipedia


『ウエスト・サイド物語』の劇中、「クール」という曲を歌いながら踊るシーンがあります。

動画はこちらで
ウエスト・サイド物語『クール』 - YouTube (4分40秒)


- 『BAD』PV -
「BAD」PVより
(YouTube動画の3分43秒)


- ウエスト・サイド物語『クール』 -
「ウエスト・サイド物語」より
(YouTube動画の2分53秒)

画像が暗くてわかりづらいですが、集団の全員が腰を落とし前かがみになって
腕を下に伸ばし、体を上下させずに早足で前進するという振り付けです。
移動の際の動き方は少しちがいますが、「クール」の特徴的なポーズが
再現されています。




■「BAD」と「ウエスト・サイド物語」その2


- 『BAD』PV -
「BAD」PVより
(YouTube動画の3分52秒)


- ウエスト・サイド物語 冒頭シーン -
「ウエスト・サイド物語」より
(下記のYouTube動画の3分30秒)
中央はジョージ・チャキリス

■『ウエスト・サイド物語』の中の最も有名な振り付けだと思います。
顎、左足、両腕を高く上げるダンスです。

『BAD』の左足を上げる高さが『ウエスト・サイド物語』より少し低いのは、
高く足を上げるとバレエっぽい印象になり、『BAD』の世界観から
浮いてしまうからかなと思います。


動画はこちらで
『ウエスト・サイド物語』プロローグ - YouTube (8分37秒)
(映画の冒頭シーンです。上記の動画は画面の左右両端が切られています)


■「今のは『クール』の振り付けだ!」と思って『BAD』のPV見ていると、
立て続けに今度はジョージ・チャキリスのダンスシーンの振り付けが
見られるという作りになっています。
「このカットはウエスト・サイド物語へのオマージュ」だと
伝える意図が見え、映画ファンに嬉しいシーンです。




■「今夜はビート・イット」と「ウエスト・サイド物語」


『今夜はビート・イット』(1983年)
作詞・作曲:マイケル・ジャクソン



動画はこちらで
マイケル・ジャクソン『Beat It(今夜はビート・イット)』PV - YouTube (4分57秒)


■敵対する2つのグループが決闘場へ。お互いナイフを取り出し対峙する双方のリーダー。
という内容のPVは、『ウエスト・サイド物語』がモチーフになっています。


- 『今夜はビート・イット』PV -
「今夜はビート・イット」PVより


- 『ウエスト・サイド物語』 -
「ウエスト・サイド物語」より


■『今夜はビート・イット』PVの2分3秒~2分16秒、夜の倉庫街を決闘場に向かって
歩くそれぞれのグループを映すところも、『ウエスト・サイド物語』のクライマックスで
ジェット団とシャーク団が決闘に向かうシーンを髣髴とさせます。


動画はこちらで
ウエスト・サイド物語『トゥナイト』アンサンブル - YouTube (3分25秒)
(上記の動画は画面の左右両端が切られています)

それぞれの思いを胸に「トゥナイト」という曲を歌いながら、決闘に向かうシーンです。

低音の歌声から始まり、動画の1分23秒からちがうメロディの歌声が入ってきて
徐々に盛り上がり、最後は大迫力の5重奏に!とてもかっこいいです。


今夜はビート・イット - Wikipedia
より以下引用です。

ミュージック・ビデオは、ウエスト・サイド物語をモチーフとしている。
(引用終わり)






■「ウエスト・サイド物語」ネタバレ

以下はネタバレを含みます。


『ウエスト・サイド物語』では決闘の末に悲劇が起こりますが、
『今夜はビート・イット』のPVではマイケルが2人の決闘を止め、
みんなでダンスしてハッピーエンドで終わります。

『ウエスト・サイド物語』でも、トニー(ジェット団の前リーダー。
「ロミオとジュリエット」のロミオにあたる人物)が決闘を止めようとしますが、
失敗してしまいます。

『ウエスト・サイド物語』の映画と『今夜はビート・イット』のPVを観ると、
『ウエスト~』の決闘をマイケルみたいに止められれば…
との思いがよぎり、映画の悲劇性がより強調されて切なくなります。
名作映画の心に残る重さ、『ビート・イット』PVの明るさやそれを作った人の思い、
両方を見ると良い増幅効果が得られるような気がします。




■動画「マイケル・ジャクソン」 + 「ウエスト・サイド物語」

■YouTubeにこんな動画がありました!

Michael Jackson + West Side Story
(マイケル・ジャクソン + ウエスト・サイド物語) - YouTube
(3分57秒)

マイケル・ジャクソンの曲と、『ウエスト・サイド物語』の映像を合わせた動画です。
ぴったり合っていて面白いです。

動画前半
曲:マイケル・ジャクソン『今夜はビート・イット』
映像:『ウエスト・サイド物語』の決闘シーン

動画後半
曲:マイケル・ジャクソン『BAD』
映像:ウエスト・サイド物語の『クール』のダンスシーン

1分20秒くらいから盛り上がります。


拍手を押してくださった方、どうもありがとうございました。

関連記事
マイケル・ジャクソン「Scream」のPVに日本のアニメ - 映像大好き

マイケル・ジャクソン「Scream」のPVに日本のアニメ 

■マイケル・ジャクソンとジャネット・ジャクソンのデュエット曲
『Scream(スクリーム)』(1995年)のプロモーションビデオに、日本のアニメが
登場しています。
PVと、元のアニメの画像を照らし合わせてみました。


動画はこちらで見られます
マイケル・ジャクソン『Scream』PV - YouTube (4分45秒)


白黒映像のPVです。
宇宙船の中に居るマイケルとジャネット。
時折、宇宙船内のスクリーンに日本のアニメが一瞬映ります。

当時このPVを見た時は何のアニメかわからなかったのですが、
今見たらわかりました!



■「バビル2世」

- 『Scream』PV -
「Scream」PV
「Scream」PV
画像1枚目:YouTube動画の0分43秒
画像2枚目:同4分39秒


- 「バビル2世」 -
「バビル2世」より
画像:
OVA『バビル2世』(1992年/全4巻)より




■「赤い光弾ジリオン」

- 『Scream』PV -
「Scream」PV
(YouTube動画の1分11秒)


- 「赤い光弾ジリオン」 -
「赤い光弾ジリオン」より
画像:
テレビシリーズ『赤い光弾ジリオン』(1987年 日テレ/全31話)より




■「AKIRA(アキラ)」

- 『Scream』PV -
「Scream」PV
(YouTube動画の4分38秒)


- 「AKIRA」 -
「AKIRA」より
画像:
映画『AKIRA』(1988年 日本)より
画像のキャラクター名は「鉄雄」




■不明

- 『Scream』PV -
「Scream」PV
(YouTube動画の0分34秒)
こちらは何のアニメかわかりませんでした。




■不明

- 『Scream』PV -
「Scream」PV
(YouTube動画の4分35秒)
爆発シーンです。

煙の描き方から、1980年代のアニメかな?としかわかりませんでした…。
エフェクト作画に詳しい方が見れば、何の作品かわかるでしょうか。


■アニメが映るのは以上の6カットで全部です。


「バビル2世」は、最初「聖闘士星矢」かと思いましたが、
バビル2世と聖闘士星矢はキャラクターデザイナーが同じ方
(荒木伸吾さん、姫野美智さん)なので絵柄が似ていたのですね。

バビル2世は、1973年(テレビ)、1992年(OVA)、2001年(テレビ)と
3度アニメ化されていて、PVで使われているのは1992年のものです。


スクリーム/チャイルドフード - Wikipedia
より以下引用です。

当時最先端のCGを全面に駆使したショートフィルムはおよそ7,000,000ドルの費用がかけられ、その年のギネスにも史上最も費用のかかったPVとして掲載された。


プロモーション映像には『赤い光弾ジリオン』など日本のアニメの映像が断片的に使用されている。
(引用終わり)





■マイケル・ジャクソンが好きです。
初めてフルで見たマイケルのPVは、1996年の
『They Don't Care About Us』(ブラジルバージョン)でした。

動画:
『They Don't Care About Us』PV(ブラジルバージョン) - YouTube (7分7秒)
『They Don't Care About Us』PV(プリズンバージョン) - YouTube (4分37秒)


先日、「亡くなる40時間前の映像」として、ロンドン公演の
リハーサル映像が公開されました。
その中で『They Don't Care About Us』が歌われています。
まさかそういった形でこの曲を聴くことになるとは。

動画:
Michael Jackson's LAST Dance
(マイケル・ジャクソンが亡くなる40時間前のリハーサル映像) - YouTube
(1分49秒)

復活コンサートツアー「This is it」のリハーサル映像。
2009年6月23日、ステイプルズ・センターにて撮影
曲:『They Don't Care About Us』

(公演の主催会社「AEGライブ」が公開した映像)

(もし上記のリハーサルの動画が削除されていたら、
YouTubeで「マイケル・ジャクソン リハーサル」「Michael Jackson Rehearsal」
で検索すると見られると思います。/2009年7月16日現在)


公開されたリハーサル映像は1分40秒間です。
テレビで、「リハーサル映像は100時間以上撮影された」と言っていました。
貴重なリハーサル風景、いつか未公開分も見ることができるでしょうか。



『BAD』のPVを何度も見返しています。
切れのあるダンスがかっこいい!
次は『BAD』のPVについて書きたいと思います。

こちらです
マイケル・ジャクソン「BAD」と「ウエストサイド物語」比較 - 映像大好き


拍手を押してくださった方、どうもありがとうございました。

ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序とテレビシリーズの作画比較 

■テレビシリーズ「新世紀エヴァンゲリオン」と、
映画『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序』の作画を比較してみました。

新劇場版には、
新作カット部分(テレビシリーズにはなかったシーン)
新規作画部分(作画が描き直されている)
テレビシリーズの原画をトレスしてそのまま使用している部分

がありました。
原画は当時のものだけれど動画枚数が増えているなど、
ちがいを見比べると面白いです。



TV「新世紀エヴァンゲリオン」、映画「新劇場版:序」より
画像上:テレビシリーズ「新世紀エヴァンゲリオン」(1995年)第1話冒頭シーンより
画像下:『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序』(2007年)冒頭シーンより


・新劇場版は、テレビシリーズの原画をトレス
・元映像(テレビシリーズ)の画面上下を切り、左右の背景を描き足し


特徴的な指の形(このカットだけ指が太いです)や、髪の毛のなびき方、
服の皺、影の位置や形を見ると、テレビシリーズの原画をトレスして
新劇場版にそのまま使われているようです。
画像を重ねてみると道路に落ちる影の位置も一致します。


■制作方式

テレビシリーズ:アナログ制作
・セル画に絵の具で彩色
・フィルム撮影

新劇場版:デジタル制作
・線画をパソコンに取り込んでCGで彩色
・デジタル撮影(コンポジット)

光の表現の仕方など、アナログ制作とデジタル制作とのちがいを見ることが出来て面白いです。

何カットか見ていきたいと思います。



『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序 テレビ版』
(2007年 日本)
(日本テレビ「金曜ロードショー」2009年7月3日 21:00~22:54放送)




■全4部作の1作目です。「新」劇場版となっているのは、1997~1998年にも
3度映画化されているからだと思います。

「テレビ版」と銘打たれていますが、本編ノーカットで
エンディングロールだけカットされ、ラストに流れる「次回予告」の
内容だけが劇場公開時とちがったそうです。

参考:
ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序 - Wikipedia


『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序』は、
全26話のテレビシリーズ「新世紀エヴァンゲリオン」の
第1話~第6話にあたるお話です。
『新劇場版:序』の内容はほぼテレビシリーズをなぞったものとなっています。

『序』の放送前にテレビシリーズ第1話~5話が再放送されたので、
新規作画部分とテレビシリーズの作画を再利用している部分が
よくわかって面白かったです。


■新劇場版の中の、テレビシリーズ第1話AパートとBパートの終盤と、第2話にあたる
ほとんどの部分は、当時の原画※が使われていました。

(※「レイアウト」「原画」「動画」の説明はこの記事の一番下にあります)

1990年代の作画にデジタル彩色をするとこうなるんだ!というのが見られて貴重でした。

テレビシリーズの原画がトレスされていますが、微妙なタッチが
現代風に描き直されています。
テレビシリーズを見ずに新劇場版を観れば、どこが新作画で
どこが1995年当時の原画かわからないかも知れません。


■テレビシリーズの画面サイズ(アスペクト比)は正方形に近い4:3。
劇場版は横長の16:9ですから、テレビシリーズのレイアウト・原画を
そのままでは使えません。
画面の上下を切るか、左右を描き足さなければいけませんし、
単に機械的に上下を切っては絵の構図がおかしくなってしまいます。

4:3で作られた画面をどうやって16:9に直しているのか見てみると、
ワンカットワンカット、構図に合わせてそれぞれちがう方法が取られていました。

・画面の上下を切っている
・左右を描き足している
・上だけ(下だけ)切っている
・手前の人物と奥の人物の距離を広げている


など、レイアウトが再構成されていました。


ここがみどころ - ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序 公式サイト
より以下引用です。

10年以上も保存されていた貴重な原画、動画、レイアウト(画面の設計図)、背景をスタジオに結集し、検分した上で改めて「どう料理するか」の決定がくだされる。ビスタサイズに合わせて再フレーミングが行われ、画面構成のクオリティをアップすべくレイアウトの多くは描き直されている。原画も作画監督が現在の目で見直し、細かな手が加えられた。キャラクターのフォルムや影のニュアンス、演技を必要に応じて修正、メカの描き込みも格段にレベルが上がっている。背景に関しても密度感、色彩、光と影の表現がより美麗になっている。
(引用終わり)




(※新劇場版はテレビシリーズのフィルムをそのまま使用はされていません。
新たに描かれています)


■使徒に向かってミサイルが飛んで行くカット

TV「新世紀エヴァンゲリオン」、映画「新劇場版:序」より
上:テレビシリーズ第1話Aパート
下:新劇場版:序

あさりよしとおさんデザインだ!と一目でわかる、使徒サキエル。
目(?)がぱちくりするのがかわいいです。

・テレビシリーズの原画をトレス
・画面左右の背景を描き足し
・背景のディテールアップ




■綾波レイがベッドから起き上がるカット

TV「新世紀エヴァンゲリオン」、映画「新劇場版:序」より
上:テレビシリーズ第1話Bパート
下:新劇場版:序

・新規作画(原画から描き直し)

先のサキエルのカットは、テレビシリーズの画面に
左右の背景だけ描き足され、サキエルの演技もテレビと同じですが、
こちらの綾波レイのカットはキャラクターの位置や演技が描き直されています。
尺もテレビシリーズの同カットよりやや長くなっています。

テレビシリーズ第1話Bパートの前半にあたる部分は
原画から描き直されています。



■エントリープラグが挿入されるカット

TV「新世紀エヴァンゲリオン」、映画「新劇場版:序」より

・新規作画
・3DCG


テレビシリーズでお馴染みのカットです。
画像上は手描き、下は3DCGです。
右上のアームとエントリープラグの動きがCGのそれですが、
静止画では一見手描きのように自然に見えます。



■射出口が開くカット

TV「新世紀エヴァンゲリオン」、映画「新劇場版:序」より

・テレビシリーズの原画をトレス
・画面上下を切り、左右を描き足し
・背景の細部描き込み増





■テレビシリーズ第1話と第2話にあたる一連の戦闘シーンは、
カットが切り替わるタイミングもテレビシリーズとぴったり同じです。


■エヴァが射出口を高速で上って行くカット

TV「新世紀エヴァンゲリオン」、映画「新劇場版:序」より

・テレビシリーズの原画をトレス
・画面上下を切り、左右を描き足し
・エヴァの鎖骨から下を描き足し
・エヴァの位置が画面に対して少し上に移動


エヴァの位置が上に移動しているのは、テレビシリーズの位置のまま
画面比率を16:9に広げてしまうと、画面左上に不自然に大きな空間が
できた構図になってしまうためだと思います。
どのカットもこうした気配りがされています。
劇場版の画面サイズに合わせてレイアウトを再構成する。
上記の公式サイトに書かれていた「再フレーミング」とはこのことかと思います。

左肩の照り返しは、3パターンほどの光の形を
繰り返すことでチカチカ光っているように見せています。
光の形までテレビシリーズと同じに描かれています。


どのカットも描き足された部分にまったく違和感がありません。



■地面の射出口の扉が開くカット

TV「新世紀エヴァンゲリオン」、映画「新劇場版:序」より

・3DCG

テレビシリーズは手描き。新劇場版は3DCGになっています。
手描きの扉の動きは、エレベーターの扉が開く時のような
ガッコンという硬さや、吸い付くような動きのニュアンスがよく出ていてリアルです。
CGの動きは重さがなくスルーっとしていて、やや見ごたえに欠けますが、
細部の描き込みは増えています。



■射出口を出たエヴァが一瞬カメラの前を通り過ぎるカット

TV「新世紀エヴァンゲリオン」、映画「新劇場版:序」より

・新規作画?

カメラ固定でエヴァの顔・胸・お腹が一瞬通り過ぎて行きます。
1秒もない一瞬のカットで、画像の顔の部分は普通に再生すると
ほとんど見えません。
このカットはテレビシリーズの動きのほうがかっこいいと思いました。

エヴァ発進~地上に現れる、の一連の射出シーンの中で、
この一瞬のカットのみ、新たに原画が描かれているようです。
カット割りはテレビシリーズと同じです。

静止画で見ると新劇場版のほうが勢いと迫力がありますが、
動いているところを見るとテレビシリーズのほうがシャープな勢いが感じられ、
目を奪われるような気持ちよさがあります。

なぜそう見えるのかコマ送りで見比べてみると、
テレビ版のほうがエヴァのコントラストが強く描かれていました。
(全体は明るい色で、影の部分は真っ黒に塗られています)

また、新劇場版は豪快な動きのコマとコマの間にはエフェクトを入れ、
なめらかな画面に見えるよう加工しているようです。
(テレビ局で入れた残像処理ではないと思います)


このカットの直後、ガシン!と地上に現れたエヴァの顔を
あおりの構図で見せますが、この時の画面の揺れ方が
テレビシリーズと新劇場版とでちがいます。



■エヴァ、リフトオフのカット

TV「新世紀エヴァンゲリオン」、映画「新劇場版:序」より

画像はテレビシリーズです。
ミサトの「エヴァンゲリオン初号機、リフトオフ!」
のセリフの後、エヴァの肩の支えが外れ、
ゆらっと猫背になったエヴァの肩~腕がぶらりと揺れるカットです。

エヴァの動きの巨大感・ゆら~り感は劇場版のほうがよく出ています。
テレビシリーズの同カットより作画枚数が増えているように見えます。



■「歩いた!」

TV「新世紀エヴァンゲリオン」、映画「新劇場版:序」より
エヴァが歩いたことを喜ぶリツコさん。

・テレビシリーズの原画をトレス
・画面上下を切り、左右を描き足し


新劇場版のほうがコントラストきつめに彩色されているのに、
今っぽく見えます。
まったく同じ絵なのに微妙な表情が現代的に変化していてすごいです。



■エヴァがバランスを崩して倒れるカット

TV「新世紀エヴァンゲリオン」、映画「新劇場版:序」より

・原画描き直し
・作画(動画)枚数が増えている


このカットはテレビシリーズと新劇場版との動きが一致しないので、
原画から描き直されているのだと思います。
(この直後の、エヴァが倒れて顔面が地面に激突するカットの原画は
テレビシリーズのトレスだと思います)

テレビシリーズよりも作画枚数が増え、ふらつくエヴァのゆら~り感や
重量感が、新劇場版はよりよく出ていると思います。



■エヴァが使徒サキエルを蹴るカット

TV「新世紀エヴァンゲリオン」、映画「新劇場版:序」より

・原画、描き直されているかも?
・エヴァの脚の周りの光(火花)のエフェクトが、
上:アナログ透過光
下:CG


テレビシリーズは、蹴ったエヴァの脚が伸びきった瞬間、
画面が一瞬止まったような「間」があります。
新劇場版もカットが切り替わるタイミングがテレビシリーズと
まったく同じなので、同じ部分で間が空くはずですが、
その瞬間に画面を揺らすエフェクトを加えることで間をなくしています。

恐らくテレビシリーズの「間」は意図したものではなく、
こちらが完成形なのでは?と想像しました。
ただ、エフェクトのために被写体の動きを目で追いづらくなり、
画面全体の完成度は上がったけれど、作画がよく見えるテレビシリーズのほうが
動きがかっこいいように思いました。



■一連の戦闘シーンは、テレビシリーズは動きがシャープで
硬質感が出ている傾向があります。
劇場版はなめらかでマイルドな動きになっていると思いました。



■伊吹マヤ

TV「新世紀エヴァンゲリオン」、映画「新劇場版:序」より

・テレビシリーズの原画をトレス
・口の動きを描き直し
・画面の上下を切り、左右を描き足し


よく見ると、口の形と位置だけテレビシリーズとちがいました。
パクパクする口の形をコマごとに見てみましたが、テレビシリーズのそれと
一致しませんでした。
現在の絵柄に合わせて口の形が描き直されているのだと思います。

テレビ版のトレスなのに、ちゃんと絵柄が今っぽくなっています。
やや黒目がちに、口は小さく、童顔に、表情は控え目に、と
微妙なニュアンスが今風に変更されています。

服の右肩に付いている、オレンジ色の模様の位置が
テレビシリーズと新劇場版とで変わっています。
左肩の模様と見比べると、テレビシリーズは塗り位置を間違えているようです。
見比べて初めて気が付きました。



■シンジを見下ろすゲンドウのアップ

TV「新世紀エヴァンゲリオン」、映画「新劇場版:序」より
(人物の大きさに合わせてテレビシリーズの画面を拡大しました)

・テレビシリーズの原画をトレス
・画面上下を切り、左右の背景を描き足し
・背景の格子状の線の位置、パースの掛かり具合を変更


まったく同じ絵ですが、テレビシリーズのほうが
なんとなく立体感があるように見えます。
画面の質感(テレビ:ノイズあり、空気感あり/新劇:クリア、のっぺり)
のちがいや、テレビ版のサングラスのハイライトが強いためかも
知れませんが、恐らく描線のタッチのちがいのためではないかと思います。

大きい画像で見ると描線のタッチがちがうことがわかります。
(クリックで拡大します)
TV「新世紀エヴァンゲリオン」より
映画「新劇場版:序」より

テレビシリーズの描線は、耳の中の線と線が交わる部分、
陰になる部分、小鼻の付け根、鼻の穴、口角などが太い線で描かれ、
描線の細い部分、太い部分のメリハリが付いています。
付けペン画のように線にタッチが付いているため、
絵に立体感が出て見えるのだと思います。

一方、新劇場版は均一な線で描かれています。
デジタル彩色になってから、動画の描線を均一に、隙間なく
引かなくてはいけなくなったため、動画を描くのにより
時間が掛かるようになったと、先日7月10日のNHK総合・朝7時の
ニュース番組で報じられていました。
(動画マンの方の収入が低い問題についてのニュースでした)



■ミサトがリツコに電話を掛けるカット

TV「新世紀エヴァンゲリオン」、映画「新劇場版:序」より

・テレビシリーズの原画をトレス
・ミサトを拡大、シンジを縮小
・シンジを画面奥に配置
・画面上下をややカット
・背景を広角気味に変更。ディテールもアップ



上の画像はミサトの大きさで合わせました。
本来の画面サイズはこういう感じです。
TV「新世紀エヴァンゲリオン」、映画「新劇場版:序」より

今までのカットは、被写体の大きさはテレビシリーズそのままに、
背景を左右描き足したり画面の上下が切られていましたが、
このカットは画面に合わせてミサトが拡大されています。
テレビシリーズも劇場版も、画面の幅に対してミサトの大きさが同じです。
また、ミサト・シンジ間の距離が広げられ、画面に奥行きが出ています。



■コンビニに居るシンジとミサトのカット

TV「新世紀エヴァンゲリオン」、映画「新劇場版:序」より

・テレビシリーズの原画をトレス
・画面上をカット。画面下ややカット。画面の左右を描き足し。
・背景の細部描き込み増
・背景の色合い変更



画像上の背景:
寒色系で塗られ、描き込み具合も抑えられているため
寂しくて寒々しいニュアンスが出ています。

画像下の背景:
温かみのある暖色に変更されています。
サンドイッチの具もピンク色に描かれていて、画面をピンク系で
まとめる意図がうかがえます。


画的には画像上のほうが画面がすっきりしていて人物が映え、
線もシャープです。尖った感じの表現だと思います。
新劇場版は背景と人物が同系色なので、テレビシリーズほど
人物が引き立ってはいませんが、穏やかな印象を受けます。

同じ原画から起こされたカットでも、画面から受ける印象がだいぶちがいます。
鬱々として病んだ雰囲気が強調されたテレビシリーズと、
そういった部分が削ぎ落とされた新劇場版との表現方法のちがいが
よく表れているカットではないかと思いました。



■ミサトの家の中のカット

TV「新世紀エヴァンゲリオン」、映画「新劇場版:序」より
(人物の大きさに合わせてテレビシリーズの画面を拡大しました)

・テレビシリーズの原画をトレス
・画面上のみをカット
・背景の細部描き込み増


1990年代のアニメ独特の、パキっとした体のラインも
そのまま再現されています。



■絵の面でテレビシリーズとの一番のちがいは、ラミエルがCGで描かれ
変形するようになった他に、3DCGが導入されたことで、背景を映す際にカメラが立体的に
動けるようになったことではないかと思いました。

映画「新劇場版:序」より
『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序』より 地面から高層ビル群が生えてくるシーン

テレビシリーズでは固定カメラで遠目に眺めるだけだったビルが、
新劇場版はカメラがビルとビルの谷間に入り、俯瞰の構図から
ワンカットでカメラが下りて来ます。

セル画の時代でもそのようなカメラワークは可能だったと思いますが、
ビルの角度を変えたり動かすためにビルをセル画に描く必要があり、
水彩画っぽい背景画(実際は画用紙にポスターカラーで描かれるそうです)
がセル画塗りへと質感が変わります。




■「レイアウト」「原画」「動画」について

レイアウト、原画、動画の説明はこちらの記事がとてもわかりやすいです。
スタジオジブリ映画『ゲド戦記』の公式ブログです。

特集コラム「ゲド戦記はこうして生まれる」 - ゲド戦記制作日誌
(4) ─レイアウト(後編)─
(5) ―原画・作画監督―
(6) ―動画・動画検査―


ゲド戦記制作日誌 - スタジオジブリ
より画像を引用します。
「ゲド戦記」より

画像上から、「レイアウト」、「原画」、「動画」です。

レイアウト:
画面の設計図。どこに何を描くか、カメラ位置や構図を決める。

原画:
絵を動かす。動きの始点、終点、ポイントになる動きを描く。

動画:
原画をトレスして清書した絵。
(視聴者が目にするのはこの清書した線画)
原画と原画の間の動きを描く。(「中割り」と呼ぶそうです)


参考リンク:
アニメーター - Wikipedia
原画 - Wikipedia


■「作画がいい」「動きがすごい」というのは原画を指すもの。
「輪郭線が雲形定規で引いたみたいに綺麗」というのは
動画を指すものだと思います。

原画を描く人が「原画マン」で、動画を描く人が「動画マン」。
上手な動画マンは原画マンに昇格するそうです。


ものすごく大ざっぱにまとめてしまったので、ぜひ元記事の
ゲド戦記制作日誌をご覧ください。
アニメの制作過程がよくわかって面白いです。


拍手を押してくださった方、どうもありがとうございました。


関連記事
日テレ再放送版「新世紀エヴァンゲリオン」の残像処理 - 映像大好き

日テレ再放送版「新世紀エヴァンゲリオン」の残像処理 

■ポケモンショック対策により、画面が残像処理されて放送されました。

「加工前後の比較」
「残像処理されなかった場面」
「日常シーンのカットの繋ぎ方の面白さ」
などについて書きたいと思います。


『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破』公開記念
「新世紀エヴァンゲリオン」一挙放送

TVシリーズ『新世紀エヴァンゲリオン』
第1話~第3話
(日本テレビ 2009年6月30日 午前1:59~3:29放送)



1995~1996年に掛けてテレビ東京で放送された、アニメ
「新世紀エヴァンゲリオン」の再放送が日テレ深夜で始まりました。


放送形態
オープニングが流れたのは第1話のみ(ノンクレジット版OP)。
2・3話はOPが省略され、エンディングは1~3話とも有り。という放送形態でした。


画質
画面は本放送当時よりクリアで、色は鮮やかでどぎつ過ぎず綺麗です。
本放送時は暗くてつぶれていた部分も良く見えるようになっています。

画面の中の空気感・粒子感(フィルムグレイン)が出ておらず、
背景だけが映るシーンや静止画のシーンなどは
DVDを一時停止したような不自然さはあります。
恐らくリマスター版DVDを放送しているのだと思います。


残像処理
オープニング・本編ともに、ポケモンショック対策(後述します)で
画面を一部加工して放送されました。
特にオープニングは残像処理された部分が多く見られます。
液晶テレビでご覧の方で、残像が気になり、液晶画面のせいかと思った方も
いらっしゃるかも知れませんが、液晶のせいではありません。



残像処理とは?
↓これです。

画像:2009年6月30日放送 日本テレビ「新世紀エヴァンゲリオン」OPより
(クリックで拡大します)
再放送版「新世紀エヴァンゲリオン」OPより
(画像はどなたかがテレビ画面をキャプチャーして
ネット上にUPされていたものを拝借しました。勝手にすみません…)


動きの始点から終点まで、絵を繰り返しオーバーラップ※させているため、
被写体がブレて動きがギクシャクして見えます。
1995年の放送当時は、もちろんちゃんとコマごとにスムーズに絵が動いていました。
(画像の綾波レイのカットは静止画で、カメラがパンします)

オーバーラップ - goo国語辞典
(1)映画・テレビの技巧の一。ある画面の上に他の画面が重なって浮かび出し、次第に鮮明になるにつれて、もとの画面が消えるもの。二重写し。




■元の映像からコマを落とし、代わりに残像を重ねるのが残像処理です。
静止画では画像のように絵が何重にも見え、再生すると動きがギクシャク・
スカスカして見えるのが特徴です。


ポケモンショック事件後、すべてのアニメは放送前に機械でチェックされ、
ある条件を満たしたシーンは残像処理を加えてから放送されるようになりました。



残像処理の対象になる場面
・画面がチカチカ明滅する場合(画面効果)→現在使用されていない
・画面がフラッシュを焚いたように光る場合(画面効果)→現在使用されていない
・被写体が素早く動く場合(作画)
・被写体が大きく動く場合(作画)
1秒間24コマ全作画の迫力あるアクションシーンなど(作画)
・「落下する」「剣を振る」「画面の前を走って横切る」など、
画面の端から端へ何かが動く場合(作画)
・画面が素早くパンする場合(カメラワーク)
・カットが非常に細かく切り替わる場合(編集)→現在見掛けない手法

など



今回の再放送で残像処理された部分(オープニング:1分30秒)

・タイトルバック(0分14秒)
タイトルロゴが出る直前、白地に黒い画面効果(斜め十字架)が
曲に合わせてテンポ良く幾重にも重なるシーン。
→黒い斜め十字が全消し+薄く消されている。

・目を閉じ、顔を上げながら目を開くシンジの両目のアップ(0分55秒)
→目を開けた後の顔の動きが、残像処理によりガクガクしている。
(間の動きが抜かれている)

・顔を上げるエヴァ(0分57秒)
→0分55秒のシンジと同様の加工

1分6秒~1分22秒の間すべて(「監督 庵野秀明」の文字が出るまで)
→16秒間絶えず画面がギクシャクしている

・ミサトがゆっくり顔を上げる部分(1分21秒)
→同様にガクガクしている



参考動画(残像処理されていない本来のOP)
新世紀エヴァンゲリオン OP - YouTube (1分30秒)



■残像処理されていないOP映像も一部流れました。
番組内にて流れた『日テレ限定 新世紀エヴァンゲリオンDVD-BOX』のCMで、
タイトルバック(0分14秒)部分が残像処理なしで放送されました。(約2秒間)
番組を録画された方はぜひ加工版OPと見比べてみてください。
加工なしのタイトルバックは、番組開始の1時59分から録画した場合
56分50秒と、1時間26分50秒のところで流れます。



■エヴァンゲリオンのオープニングは、激しくカットが切り替わる手法が
当時話題になりました(と思います)。
比較的ゆったりした作りの前半に対し、OP終盤は
ぎりぎり目視できるかできないかくらいの短い映像が、
16秒間に渡ってパパパパパッ とテンポ良く映し出されます。
曲のテンポとぴったり合ったカット割りが気持ち良いです。
速すぎてほとんど認識できないカットも挟み込まれていますが、
見せるところはしっかり見せています。

とてもかっこいいOPですが、終盤の16秒間は62カット(数えました/笑)
という壮絶なカット数です。
そのため、現在地上波でそのまま放送するのは難しいのだと思います。



ポケモン事件
1997年、アニメ「ポケットモンスター」の画面がチカチカ明滅する演出
(「パカパカ」)を見た方が、光過敏性発作を起こす事件がありました。

参考:
ポケモンショック - Wikipedia

以後、各テレビ局では画面の点滅に関するガイドラインが作られました。
当時アニメでまれに見掛けた、画面全体の過剰なチカチカは
確かに眩しかったです。
アニメでは画面全体または一部がチカチカ光る効果や、
エヴァンゲリオンOPのように細かくカットが切り替わる演出が使われなくなりました。



■日本のアニメの大きな魅力の一つである「メリハリのある動き」
(タメて、一気に動かすなど)や、「動きの気持ちよさ」が感じられる作画も
局によっては規制の対象となりました。

この「どんなシーンを残像処理するか」は
テレビ局や番組によってかなり基準がちがうようです。

例えば、今回日テレでは残像処理されたエヴァンゲリオンOPは、
NHK-BS2では加工されずそのまま放送されました。
(2005年3月28日放送「BSアニメ夜話」でエヴァンゲリオンが取り上げられ、
ノンテロップOPが放送された際)

BS放送は地上波よりも基準が緩いのかも知れません。



■TVアニメ「スレイヤーズREVOLUTION」(テレビ東京 2008年放送)
では、オープニングの多くの部分が残像処理されて放送されましたが、
番組枠内で流れる「AT-X 超スレイヤーズ祭」CMにおいては
同オープニングが残像処理なしで流れました。

・残像処理が加えられたOP
スレイヤーズREVOLUTION OP - YouTube (1分45秒)

残像処理されている部分:
・動画の0分35秒、リナとリナの髪の動き
・0分41秒、リナの顔と緑の輪の明滅
・0分46秒~1分00秒、ガウリイの剣~カメラ回り込み~各キャラ紹介、のすべて
・1分13秒、アメリアの動き
・1分20秒~1分26秒、戦闘シーンすべて



■TVアニメ「隠の王」(なばりのおう)(テレビ東京 2008年放送)
のオープニングも残像処理されての放送でしたが、
「隠の王」DVDのCMでは処理なしのものが使われていました。

・残像処理が加えられたOP
隠の王 OP - YouTube (1分30秒)

残像処理されている部分:
アクションシーンはすべて残像処理されています。
重量感やスピード感、なめらかさなどの作画のニュアンスが消されています。


・残像処理なし(本来のOP)
隠の王 OP HD 高画質 - YouTube (1分30秒)

0分54~58秒のアクションシーンや、
1分14秒、たくさんの赤い彼岸花が画面左から右へ向かって
舞う部分を見比べるとちがいがわかりやすいと思います。
こちらは動きがカクカクしていません。
(動画の画質のちがいのせいではありません)



■ポケモンが放送されたテレビ東京は、特に厳しい基準を設けています。
アニメ番組等の映像効果に関する製作ガイドライン - テレビ東京公式サイト
より以下引用です。

2. 急激なカットチェンジや急速に変化する映像も、光の点滅と同様の影響を与えるので、1/3秒に1回を超える使用は避けるべきである。
(引用終わり)



前述の「残像処理の対象になる場面」の、
・被写体が素早く動く場合(作画)
・被写体が大きく動く場合(作画)
・1秒間24コマ全作画の迫力あるアクションシーンなど(作画)


は、テレビ東京ガイドラインの「急速に変化する映像」に該当します。

この基準でいくと、もしエヴァンゲリオンを今テレビ東京で再放送したら、
戦闘シーンのほとんどはスローモーション加工と残像処理が必要です。
作画枚数が多く、緩急の付いた躍動感のある動きが多用されているからです。
戦闘シーンの作り込まれた作画がエヴァンゲリオンの魅力でもあると思います。



■今回の日テレ再放送は、ひょっとしたら本編の戦闘シーンはすべて
残像処理されるのではないかと思いましたが、
当時のまま放送してくれた部分が想像以上に多かったです。



~残像処理されなかった場面~

第1話Aパート
「第壱話 使徒、襲来」のサブタイトル文字が出た直後、
画面手前から奥へミサイルが飛び、一瞬シンジの顔がアップになり、
続けてミサイルを追ってカメラが横に素早くパンし、使徒サキエルが映る場面。

・画面効果とともに手前から奥へ飛ぶミサイル
・チカッと一瞬挿入される顔のアップ
・高速パン
は、通常は残像処理の対象ではないかと思います。


第1話Bパート
エヴァ発進の時、射出されたエヴァが射出口を高速で上って行くシーン。
肩の照り返しがチカチカ光っていますが、残像処理されていません。

(と思ったら、第3話の同シーン(バンク)は残像処理されています。
あれ!?なぜ!?
第1話の発進シーンをそのまま使い回しているのに、
なぜ同日放送の3話だけ規制されているのでしょうか。
肩の光と、射出されるエヴァの重さ・スピードを表現するわずかな機体の揺れが
残像処理により消され、重さがなくするーっと射出されているように見えます。)


第1話Bパート
射出口を出てエヴァが地上に現れるシーン。
固定カメラの画面全体を、被写体(エヴァ)が覆ったまま高速で動く
1秒ほどのカットがあります。
エヴァが顔・胸・お腹の順に一瞬でカメラを通り過ぎて行きますが、
この時エヴァがハイコントラストで影が真っ黒に描かれているため、
光の当たる部分と影の部分が交互に映って点滅と同じ効果を生み出しています。
ここを残像処理せず放送してくれたのはすごいことだと思います。
人気アニメだから可能なのでしょうか。
スピード感のある格好いいカットなので嬉しいです。

2009年7月3日追記:
7月2日放送の第5話では、上記カット(バンク)は残像処理されました


第2話Bパートの戦闘シーン
エヴァが宙返りして着地した後、敵に対して向き直るカット。
画面いっぱいに映ったエヴァ。カメラも被写体も大きく動きます。
カメラがエヴァにぐっと寄ると、頭部のみフレームアウトして
遠心力が掛かりながらまたフレームインして来る非常に格好いい作画です。
なんとここもそのまま放送してくれました。
このような画面いっぱい使ったスピーディで大きな動きは通常、
どの局でも規制対象だと思います。


■爆発やATフィールドの発光、地震のように画面が揺れるシーンなどは
すべて残像処理されています。(光っていなくても)
ですが、アクションシーンの作画をここまで加工なしで
見せてくれたことに驚きました。
出来る限り元の映像のまま放送したいという意思がうかがえると思います。

第3話のバンクシーンに残像処理が掛かっていたことを考慮すると、
1話・2話だけ特別に自主規制を緩めたのかも知れません。

残像処理があるのとないのとでは作画の魅力が格段にちがうので、
DVDの販促のために元のまま放送した可能性もあります。
今後どうなるかわかりませんが、もしかしたら光る・揺れるシーン以外は
極力加工されないのかも知れません。



■エヴァンゲリオンはポケモン事件以前に制作されたアニメなので、
点滅シーンはDVDでも画面を暗くしてコマ数を落とすなどの
加工がされているかも知れませんが(ちがったらすみません!)、
アクションシーンの重量感・スピード感のある作画が残像処理されていなければ
DVDが欲しいと思いました。



残像処理以外の対策 - TVアニメ
ポケモンショック対策として、残像処理の他に、
・画面にフィルターを掛け全体を白っぽくする
・画面を暗くする
・素早い映像や、作画枚数の多い映像をスローモーションに加工する
などの対策がとられています。
ポケモン事件以前に制作された作品だけでなく、現在の新作も
放送時に加工されています。

加工の実例が画像付きでわかりやすく解説されているページがありました。
ポケモンチェックとは? - TVアニメ資料館




「エヴァンゲリオン」の特徴的な演出
日常シーンのカットの繋ぎ方が映画的です。
こんなシーンがありました。

第2話Aパート:

ミサトの運転する車に乗っているシンジ。
車はトンネルの中を走っている。

ミサト「さーて、今夜はパーッとやらなきゃね」
シンジ「何をですか」
ミサト「もっちろーん、新たなる同居人の歓迎会よ」

ブオ ←車の音

カットが切り替わり、コンビニ前に停まっているミサトの車が俯瞰で映る。
カットが切り替わり、買い物カゴいっぱいのコンビニ弁当やビールが大写しになる。



この時の「ブオ」が面白いです。

通常「ブオーー」と適度に車の走行音を聞かせることで、
「この車はこれからどこかへ向かおうとしています」と
視聴者に説明してから場面転換するのではないかと思います。
この場合の車の音は、「次の場面に移ります」という記号です。
視聴者はそのメッセージを受け取って、無意識に「今場面転換するんだな」
と予測しながら画面を見ています。

ところがこのシーンは、車の「ブォ」の音が途中で切られています。
一瞬車の音が出たところで次のシーンに移り、
唐突に場面転換したような印象を持たせます。

あっ、と思ったらもう2人はコンビニに居る。
テンポの良さと極力BGMを使わない静けさ、間の取り方が
昔の白黒映画みたいで素敵です。

ミサトの「さーて今夜はパーッとやらなきゃね」のセリフから、
コンビニ弁当が大映しになるまでに要した時間は約13秒間でした。


拍手を押してくださった方、どうもありがとうございました。


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(『AKIRA』など。PVと元のアニメの画像を照らし合わせました)

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